Agitation Free – Momentum (2023)
Agitation Free『Momentum』について
Agitation Freeの『Momentum』は、2023年にドイツのMIG Musicから出た2枚組LPで、同年の作品として扱われるアルバムだ。バンドは1967年にベルリンで結成されたクラウトロック・バンドで、初期メンバーにはLutz Ulbrich、Michael Günther、Lutz Kramer、Christoph Frankeがいた。『Malesch』『2nd』など70年代前半の作品で知られるグループが、長い時間を経て新作を出した流れの一枚になる。
バンドの背景
Agitation Freeは、ベルリンのサイケデリック/実験ロックの文脈で語られることの多いバンドだ。Zodiacクラブのハウス・バンドとして活動し、マルチメディアのライトショーでも知られていた。70年代にはメンバー交代を重ねながらも、エジプト、レバノン、ヨルダン、ギリシャを巡るツアーを行い、その体験が『Malesch』につながっている。Tangerine DreamやAsh Ra Tempelと近い空気を持つ、ドイツ・クラウトロックの重要な一角という位置づけだ。
『Momentum』の位置づけ
本作は、バンドの長い活動史の中ではかなり後年の新作で、オリジナルの70年代作品群とは別の時代に作られたアルバムになる。クレジットには、ロックダウン中に多くの場所で録音されたこと、複数のミュージシャンが参加していることが記されている。Agitation Freeの現在形を示す作品として見るとわかりやすい。
参加メンバーには、Lutz Ulbrich、Michael Hoenig、Micky Duwe、Christian Kneisel、Daniel Cordes、Michael Günther、Dietmar Burmeisterらの名が並ぶ。ゲストとして、Nouveau Sonへのギター参加、Levantでのサントゥール参加、さらに1973年の「Rock En Stock」からのスポークンワーズ使用もクレジットされている。
音の特徴
ジャンル表記はElectronic、Rock、スタイルはKrautrock、Psychedelic Rock。クレジット上でも、ベース、シンセ、ギター、アコースティック・ギター、バンジョー、キーボード、電子パーカッションなどが並び、70年代クラウトロックらしい有機的なバンド演奏と電子的な処理が同居する構成がうかがえる。Side Dは45rpmで収録されている。
レコードはシングル・スリーヴ入りで、白い無地の内袋付き。黒盤の2LP仕様で、2023年にドイツ製造。盤面クレジットではMIG Musicの制作であることが明記されている。
作品としての見どころ
『Momentum』は、Agitation Freeの初期を知る人にとっては、70年代の路線を引き継ぎつつも、録音環境や参加メンバーの世代差を含んだ現在の姿を確認できる一枚になっている。バンドの歴史をたどると、こうした後年の新作は、単なる復活作というより、過去の資産を再演する場でもあり、新しい素材を持ち込む場でもある。
また、クレジットに1973年の素材への言及があることからも、過去と現在をつなぐ意識が見える。Agitation Freeらしい、長く展開する演奏、電子音の処理、即興性の残る構成を軸にした作品として受け取れるだろう。
関連アーティストとの文脈
同じベルリン周辺のクラウトロックでは、Tangerine Dream、Ash Ra Tempelといった名前がまず挙がる。Agitation Freeはその近い空気を持ちながら、よりバンド演奏の手触りや、現場のジャム感を感じさせるグループとして語られることが多い。『Momentum』でも、その系譜の延長線上にある音作りが確認できる。
まとめ
『Momentum』は、1967年結成のベルリン・バンド、Agitation Freeが2023年に発表した最新作で、クラウトロックとサイケデリック・ロックの歴史を背負いながら、電子音とバンド演奏を組み合わせた内容のアルバムだ。70年代の代表作とは時代が異なるが、グループの名前が持つ文脈をそのまま現在に持ち込んだ作品として、位置づけが見えやすい一枚になっている。
トラックリスト
- A1 – Nouveau Son (8:35)
- A2 – Levant (7:53)
- B1 – Lilac (6:19)
- B2 – Nightwatch (9:26)
- C1 – Shibuya (Studio Version) (8:14)
- C2 – Indajungl (7:03)
- D – Momentum (9:18)