Big Brother & The Holding Company – Cheaper Thrills (1983)
Big Brother & The Holding Company『Cheaper Thrills』
Big Brother & The Holding Companyは、1960年代半ばにサンフランシスコで結成されたブルースロック/サイケデリック・ロック・バンドだ。Janis Joplinの在籍で知られるグループだが、この『Cheaper Thrills』は、その初期のライヴ音源を収めた作品として位置づけられる。収録音源は1966年7月28日、サンフランシスコのCalifornia Hallでのライヴ録音で、1983年に作品としてまとまり、UKでは1984年に盤が出ている。
作品の中身
このアルバムは、のちの『Cheap Thrills』のような大きな成功作とは別に、バンドの初期像をそのまま残した内容になっている。Janis Joplinの歌、James Gurleyともう一人のギター、Peter Albinのベース、Dave Getzのドラムという編成で、スタジオ録音よりも、その場の空気と演奏の流れが前に出るライヴ盤だ。1966年時点のBig Brother & The Holding Companyらしい、ブルースを土台にした長めの展開と、サイケデリックな感触が同居している。
録音が1966年ということもあり、後年の代表作に比べると、まだ荒さが強い。とはいえ、Janis Joplinの歌の押し出しや、バンド全体の一体感はこの時点ですでに見える。完成度を整えた作品というより、当時のサンフランシスコ・シーンの現場感をそのまま封じた記録といえる内容だ。
バンドにとっての位置づけ
Big Brother & The Holding Companyは、Janis Joplinが世に知られるきっかけになったバンドとして語られることが多い。この『Cheaper Thrills』は、その初期段階の姿を示す資料的な意味合いも持つ。後により有名になる時期の演奏と比べると、まだ自由度が高く、ブルース・バンドとしての骨格が前面にある。サンフランシスコの同時代バンド群――たとえばJefferson AirplaneやQuicksilver Messenger Serviceの周辺――と並べると、よりブルース寄りのざらついた感触が目立つ。
聴きどころ
この種のライヴ盤で耳に残るのは、Janis Joplinのボーカルの立ち上がりと、バンドの演奏が崩れずに進む瞬間だ。観客の前で演奏している時間の長さがそのまま音に出ていて、曲の途中でテンポや呼吸が変わる場面もある。レコードとしては、整った名演集というより、現場の記録としての強さがある。
また、オリジナルの代表曲を知っている人なら、のちの録音で完成していく方向の前段階として聴けるはずだ。特定のヒット曲を押し出すというより、バンドの原型を確認するタイプの内容になっている。
盤の情報
- 収録: 1966年7月28日、サンフランシスコのCalifornia Hallでのライヴ
- 初出作品年: 1983年
- UK盤リリース: 1984年
- 付属: インサートあり
まとめ
『Cheaper Thrills』は、Big Brother & The Holding Companyの初期ライヴを収めた1枚として、Janis Joplin時代の出発点を見せる作品だ。サンフランシスコのローカルなライヴの空気、ブルースを軸にした演奏、サイケデリック・ロックへ向かう途中の輪郭。そのあたりが、淡々とした記録として残っている。
トラックリスト
- A1 – Come On Baby Let The Good Times Roll
- A2 – I Know You Rider
- A3 – Moanin’ At Midnight
- A4 – Hey Baby
- A5 – Down On Me
- A6 – Whisperman
- B1 – Women Is Losers
- B2 – Blow My Mind
- B3 – Ball & Chain
- B4 – Coo-Coo
- B5 – Gutra’s Garden
- B6 – Harry