Deep Purple – Deep Purple (1969)
Deep Purple『Deep Purple』について
Deep Purpleの『Deep Purple』は、1969年に発表された3作目のスタジオ・アルバムだ。のちに「April」とも呼ばれる作品で、オリジナル・ラインナップで録音された最後のアルバムでもある。バンドの初期を知るうえで重要な一枚であり、のちのハードロック路線へ向かう前の姿がはっきり残っている。
録音は1969年1月から3月にかけてロンドンのDe Lane Lea Studiosで行われ、英国盤は1969年11月にリリースされた。アーティスト名とアルバム名が同じセルフタイトル作品で、当時のDeep Purpleがどの段階にいたのかを示す資料的な意味合いも強い。
初期Deep Purpleの位置づけ
Deep Purpleは1968年にイングランドで結成されたバンドで、Led Zeppelin、Black Sabbathと並んでヘヴィメタルやモダン・ハードロックの先駆けとして語られることが多い。とはいえ、この時期のDeep Purpleは後年のイメージよりも、サイケデリック・ロックやプログレッシブ・ロックの要素を強く持っている。
このアルバムは、Mark I編成の終着点にあたる作品でもある。Rod Evansのヴォーカル、Ritchie Blackmoreのギター、Jon Lordのオルガン、Nick Simperのベース、Ian Paiceのドラムという布陣で、バンドの初期のまとまりがそのまま記録されている。
サウンドの印象
実際に聴くと、リフ主体で押していく後年のDeep Purpleとはかなり違う。Jon Lordのオルガンが前面に出て、曲によっては室内楽的な組み立てや、長めの展開が入る。Ritchie Blackmoreのギターも、すでに輪郭のはっきりしたフレーズを弾いているが、まだ「ハードロックの代名詞」というよりは、楽曲の中で色を加える役割が大きい。
全体としては、派手な一撃で押し切るというより、曲の展開や音色の変化を追うタイプのアルバムだ。初期プログレや英国ロックの空気が残っていて、後の重厚なDeep Purple像を知っていると、その前段階として聴こえてくる。
代表曲と知られている曲
このアルバムでは「April」がよく知られている。静かな導入から広がっていく構成で、アルバム全体の中でも存在感が大きい曲だ。タイトル曲ではなく、収録曲の中の一編として印象に残るタイプで、初期Deep Purpleの作曲志向がよく出ている。
ほかの曲も、短いポップ感覚のものから、展開を持たせた構成のものまで振れ幅がある。のちの『In Rock』以降のような強い統一感より、試行錯誤の段階がそのまま表に出ている印象だ。
同時代の文脈
1969年という時期を考えると、英国ロック全体が大きく変化していた時代だ。Led Zeppelinはより重いブルースロックへ、Black Sabbathはさらに暗い音像へ向かっていく。その中でDeep Purpleは、クラシカルな鍵盤とギターの対比を軸にしながら、まだ多様な方向を残していた。
このアルバムは、そうした転換期の英国ロックの一例としても興味深い。後のハードロック・バンドの原型を見るというより、初期ロックの要素が混ざり合っている段階として捉えると輪郭が見えやすい。
UK盤の仕様について
今回のUK盤は、黒と銀のセンター・ラベルにEMI-Box表記が入る仕様で、ラベル外周には「EMI Records Ltd.」と「Made in UK」の表記がある。ジャケットはラミネート加工のゲートフォールド仕様で、内側には「6911 TPS printed and made by Garrod & Lofthouse Ltd. SHVL 759」の印刷クレジットが入る。
こうした初期UK盤らしい作りも、作品の時代感をそのまま伝えている。音だけでなく、パッケージ面でも1969年の英国ロック・アルバムらしい雰囲気がある。
まとめ
『Deep Purple』は、バンドが後に築くハードロック像の前にある、初期段階の記録だ。オルガン主体のアレンジ、サイケデリックな感触、そしてのちの代表的な編成につながる過渡期の空気が同居している。Deep Purpleというバンドの始点を確認する一枚として、位置づけのはっきりした作品だ。
トラックリスト
- A1 – Chasing Shadows
- A2 – Blind
- A3 – Lalena
- A4a – Faultline
- A4b – The Painter
- B1 – Why Didn’t Rosemary?
- B2 – Bird Has Flown
- B3 – April