Don Henley – Building The Perfect Beast (1984)
Don Henley『Building The Perfect Beast』について
Don Henleyの『Building The Perfect Beast』は、1984年に発表されたソロ2作目のアルバムだ。Eaglesのドラマー兼シンガーとして知られるHenleyが、バンドの枠を離れて自分の名前で作った作品のひとつであり、80年代のポップ・ロックらしい輪郭のはっきりしたサウンドを持つ一枚になっている。
この日本盤は1984年リリースで、帯付き、4ページの日本語解説と英語・日本語歌詞対訳を収めたインサート、さらにポリ製インナー・スリーブ付きの仕様。国内盤らしく、作品を日本語で追いやすい作りになっている。
作品の位置づけ
HenleyはEaglesでの活動を通じて、歌うドラマーという立場だけでなく、作曲家としての存在感も強く示してきた人物だ。本作ではその延長線上で、より個人的な視点の歌と、緻密なスタジオ・ワークが前面に出ている。ソロ作としては、バンドでの役割分担から少し離れ、曲そのものの輪郭がより明確に感じられる内容だ。
録音はRecord One、Bill Schnee Studio、The Villaなどで行われ、ホーンはOcean Way Recording Studiosで録音されている。クレジットを見るだけでも、当時のロサンゼルス録音作らしい手堅い制作体制がうかがえる。
収録曲とヒット曲
このアルバムからは複数のシングルが切られている。中でもよく知られているのが「The Boys of Summer」だ。ギターのリフが印象的で、80年代のロック・ラジオを代表する1曲として語られることが多い。ほかにも「All She Wants to Do Is Dance」や「Sunset Grill」など、アルバム全体の印象を支える曲が並ぶ。
シングル群だけを見ると派手さが先に立つが、アルバムとしてはその周辺の曲も含めて、都市の夜景や人間関係の距離感を描くような流れがある。タイトルのつけ方も含めて、曲単位とアルバム単位の両方で耳に残る構成だ。
音の特徴
演奏はタイトで、各パートの配置がかなり明瞭だ。ドラム、ベース、シンセ、ギターの役割が分かれていて、音数は多くても混ざり合いすぎない。80年代のポップ・ロックにある、整った質感が前に出ている。
実際に聴くと、Henleyの声は力で押すというより、語りかけるように曲を進める場面が目立つ。サビで一気に広がる曲もあるが、全体としては抑えたテンションの中で言葉を置いていくタイプの歌い方だ。Eagles時代のハーモニー感覚を引き継ぎつつ、ソロならではの一人称の視点が出やすい作品といえる。
同時代との関係
1984年のアメリカン・ロックは、シンセやクリアなミックスを取り入れた作品が増えていた時期だ。本作もその流れの中にあり、同時代のLA周辺の作品群と並べて語られることが多い。Eagles由来のウエストコースト感を保ちながら、80年代的な録音の輪郭を持つ点が、このアルバムの特徴になっている。
同じ時代のソロ男性シンガー/ソングライター作品と比べても、Henleyは歌詞の視点に具体性があり、バラードだけでなく、リズムの立った曲でも語り口が崩れない。そこがアルバム全体の芯になっている。
日本盤の仕様
- 帯付き
- 4ページのインサート付き
- 日本語ライナー・ノーツ収録
- 英語・日本語歌詞掲載
- ポリ製インナー・スリーブ付き
- レーベル表記は28AP 2976、ラベル面は28AP 2976 (GF)
盤面のランアウトはスタンプ刻印。こうした国内盤の作り込みは、当時の洋楽LPらしい要素のひとつだ。
まとめ
『Building The Perfect Beast』は、Don HenleyがEaglesの外で自分の作家性を明確に示した1984年の重要作だ。代表曲「The Boys of Summer」を含みつつ、アルバム全体でも80年代ポップ・ロックの整理された音像と、Henleyの歌詞の視点がしっかり結びついている。派手な演出よりも、曲の構造と語り口で聴かせる一枚として印象に残る作品だ。
トラックリスト
- A1 – The Boys Of Summer (4:45)
- A2 – You Can’t Make Love (3:34)
- A3 – Man With A Mission (2:43)
- A4 – You’re Not Drinking Enough (4:40)
- A5 – Not Enough Love In The World (3:54)
- B1 – Building The Perfect Beast (4:59)
- B2 – All She Wants To Do Is Dance (4:28)
- B3 – Sunset Grill (6:23)
- B4 – Drivin’ With Your Eyes Closed (3:41)
- B5 – Land Of The Living (3:24)