Gerry Rafferty – City To City (1978)
Gerry Rafferty『City To City』について
『City To City』は、スコットランド出身のシンガー・ソングライター、Gerry Raffertyが1978年に発表した2作目のソロ・アルバム。前作『Can I Have My Money Back』に続く作品で、彼の代表作として広く知られている。収録曲の中心にあるのは、やはり「Baker Street」。サックスのフレーズで強く印象を残す、彼の名を決定づけた一曲だ。
Raffertyは、Stealers Wheelで「Stuck in the Middle」をヒットさせたあと、ソロ活動へ進んだ人物。『City To City』は、その流れの中で生まれた作品で、ソロ・アーティストとしての立ち位置をはっきり示したアルバムでもある。ポップ・ロックを軸に、メロディの運びと歌の輪郭をきちんと前に出した作りになっている。
アルバムの位置づけ
このアルバムは、Gerry Raffertyのソロ作品の中でも特に重要な一枚として扱われることが多い。理由は明快で、「Baker Street」が入っているからだが、それだけではない。アルバム全体を通して、フォーク由来の書き方と、当時のラジオ向けロックの感触が同居している。
Rafferty自身は、スコットランドのパイズリーで労働者階級の家庭に生まれ、幼いころからアイルランドやスコットランドの民謡に親しんだという。その背景は、派手さよりも曲の流れや言葉の置き方に出ているように思える。ビートルズやボブ・ディランの影響も挙げられており、1970年代のシンガー・ソングライター文脈に自然に接続する存在でもある。
「Baker Street」を中心にした聴きどころ
『City To City』を語るうえで外せないのが「Baker Street」。この曲はRaffertyの最も有名なソロ曲であり、ラジオで長く親しまれてきた代表曲でもある。曲の導入から印象が強く、アルバムの顔として十分な存在感を持つ。
ただ、アルバムの魅力はその一曲だけに集約されるわけではない。全体としては、歌メロが前に出る曲が並び、派手な展開よりも、フレーズの積み重ねで聴かせるタイプの作品。ロックの骨格に、ポップ寄りの整理された構成が入っている、という受け取り方がしやすい。
同時代の文脈
1978年という時期は、ソングライター型のロックがFMラジオで強く機能していた時代でもある。Gerry Raffertyの作りは、その文脈の中で、同じくメロディを重視するアーティストたち、たとえばボズ・スキャッグスやロギンス&メッシーナのような聴かれ方とも重なる部分がある。
一方で、Raffertyには英国圏の民謡感覚や、Stealers Wheel時代から続く素朴な歌の運びが残っている。そのため、アメリカ産のAORやソフト・ロックと完全には同じに収まらないところもある。そこがこのアルバムの輪郭になっている。
日本盤について
今回の盤は日本盤で、ブルーの帯とインサート付きの仕様。1978年のオリジナル・リリースに近い時期の盤として扱える。日本盤ならではのポイントとしては、帯や付属物の有無がコレクション上の特徴になりやすいところだが、音楽そのものはオリジナルの作品像をそのまま伝える内容と考えてよさそうだ。
まとめ
『City To City』は、Gerry Raffertyのソロ活動を代表するアルバムであり、「Baker Street」を軸にしながら、1970年代後半のポップ・ロックの空気をきっちり写した作品。派手な演出より、曲の作りと歌の置き方で聴かせるタイプの一枚で、Stealers Wheelから続く彼のキャリアの中でも重要な位置を占めている。
トラックリスト
- A1 – The Ark (5:40)
- A2 – Baker Street (6:11)
- A3 – Right Down The Line (4:32)
- A4 – City To City (5:06)
- A5 – Stealin’ Time (6:06)
- B1 – Mattie’s Rag (3:30)
- B2 – Whatever’s Written In Your Heart (6:40)
- B3 – Home And Dry (4:59)
- B4 – Island (5:22)
- B5 – Waiting For The Day (5:40)