Fireballet – Night On Bald Mountain (1975)
Fireballet『Night On Bald Mountain』について
Fireballetは、1970年代半ばに北ニュージャージーで活動したシンフォニック・プログレッシブ・ロック・バンドである。『Night On Bald Mountain』は1975年に発表された作品で、ハードロック寄りの推進力と、当時のプログレッシブ・ロックらしい鍵盤中心の構成が並ぶ一枚として位置づけられる。
メンバーはJim Cuomo(リード・ボーカル、ドラム)、Brian Hough(キーボード、オルガン、ボーカル)、Ryche Chlanda(ギター、ボーカル)、Frank Petto(キーボード、シーケンサー、ボーカル)、Martyn Biling/Biglin(ベース、12弦ギター)に加え、Ian McDonaldがフルートとサックスで参加している。編成を見るだけでも、ギター主体のバンドというより、鍵盤と管楽器を含む多層的なアンサンブルを志向していたことがわかる。
作品の輪郭
本作は、硬質なロックのリフと、オルガンやシンセサイザーを軸にした展開が同居する内容である。プログレッシブ・ロックの文脈では、同時代のカンサス、スタイクス、ジェネシス周辺の流れを連想させる面がある一方、よりアメリカ的な直線性も感じられる構成である。
タイトル曲「Night On Bald Mountain」は、作品名をそのまま掲げた代表的な曲として扱われることが多い。クラシック由来の題名を持つ点も含め、70年代プログレッシブ・ロックらしい大仰さと物語性が前に出た印象である。
サウンド面の特徴
この盤はSansui QS Stereo-Quad compatible formatでミックスされており、通常のステレオ再生でも良好な結果を想定したうえで、QSデコーダー使用時には4チャンネル再生を狙った設計になっている。70年代中盤らしい、録音フォーマットへの意識が見える点である。
実際の聴感としては、低音とオルガンの厚み、ギターの前進感、そこにフルートやサックスが差し込まれることで、音数の多い編成が整理されて聴こえるタイプの作りに寄るはずである。とくにプログレッシブ・ロックの作品では、こうした分離の良さが楽曲の展開を追いやすくする要素になる。
1975年という位置づけ
1975年の時点で、プログレッシブ・ロックは既に大規模な組曲や演奏技術の競争が進んでいた時期である。その中でFireballetは、北米のバンドらしい骨太さを保ちながら、シンフォニックな構成を前面に出していた。派手さだけで押すのではなく、鍵盤とギターの役割分担で楽曲を組み立てる姿勢がこの作品の軸になっている。
Ian McDonaldの参加も注目点である。King CrimsonやForeignerで知られる人物で、フルートやサックスを加えることで、Fireballetの音像により鮮明な色合いを与えている。バンドの編成に外部の管楽器が入ることで、単なるハードロック盤とは違う輪郭が出ている。
レコードの仕様について
- オリジナル発表年: 1975年
- リリース国: US
- ジャンル: Rock
- スタイル: Hard Rock, Prog Rock
- 付属インサートはカバー内に収まらない大きさで、折りたたんで封入されていた
- Sansui QS Stereo-Quad compatible formatによるミックス
まとめ
『Night On Bald Mountain』は、70年代中盤のアメリカ産プログレッシブ・ロックの中でも、鍵盤、ギター、管楽器を組み合わせた編成がはっきり見える作品である。ハードロックの推進力とシンフォニックな展開が並び、当時の北米プログレの一断面を示す一枚として捉えやすい内容である。
トラックリスト
- A1 – Les Cathèdrales (10:16)
- A2 – Centurion (Tales Of Fireball Kids) (4:46)
- A3 – The Fireballet (5:15)
- B1 – Atmospheres (3:40)
- Night On Bald Mountain (Suite)
- B2a – Night On Bald Mountain (2:20)
- B2b – Night-Tale (6:28)
- B2c – The Engulfed Cathedral (4:38)
- B2d – Night-Tale (Reprise) (2:34)
- B2e – Night On Bald Mountain (Finale) (2:50)