IQ – Tales From The Lush Attic (1983)
IQ『Tales From The Lush Attic』について
IQは、1981年にイングランドのサウサンプトンで結成された英国のプログレッシブ・ロック・バンドである。
『Tales From The Lush Attic』は、そんなIQが初期に残した重要作のひとつで、オリジナルは1983年発表。ここで聴けるのは、いわゆる80年代初頭のネオ・プログレッシブ・ロックの流れをはっきり示すサウンドだ。
編成は、ピーター・ニコルスの歌、マイケル・ホームズのギター、マーティン・オーフォードのキーボード、ティム・エスーのベース、ポール・クックのドラムという布陣が軸になっていた時期の作品。英国の同時代バンドの中でも、メロディと長尺構成の両方を重視するタイプとして語られることが多い。
作品の位置づけ
このアルバムは、IQの初期像をつかむうえで外せないタイトルとして扱われることが多い。デビュー直後の勢いと、すでに組曲的な展開を組み込む作曲感覚が同居していて、バンドの後年につながる骨格が見えやすい一枚である。
80年代前半の英国プログレは、70年代の大作志向とは別の形で再編されていった時期だが、IQはその中で、ジェネシスやカンザス、フォーカスなどの要素を思わせるドラマ性と、よりコンパクトなロック感覚をつないでいったバンドとして知られる。『Tales From The Lush Attic』も、その文脈の中で聴かれることが多い作品である。
サウンドの印象
実際に聴くと、まずボーカルの存在感が前に出る。ピーター・ニコルスの歌は、語りかけるような場面と強く押し出す場面の切り替えがはっきりしていて、楽曲の緊張感を保つ役割が大きい。ギターはリフと旋律の両方を担い、キーボードは空間の広がりを作る。ベースとドラムは派手に前へ出るというより、長い曲の流れを支える動きが印象に残る。
音の作りは、極端に厚いというより、各パートが見えやすいバランスに感じられる。曲ごとの切り替えも多く、静かな導入から展開を重ねていく構成が目立つ。こうした作りは、同時代のネオ・プログレ勢の中でも、IQらしいと受け取られやすい部分だろう。
代表曲として触れられやすい曲
本作では、特に長尺曲として知られる「The Last Human Gateway」がよく言及される。アルバムを象徴するような、複数の展開を持つ大きな構成で、IQの初期作法がまとまっている曲だ。
また、アルバム全体の流れの中で、短めの曲と長い曲を交互に置くことで、ドラマ性を維持している点も特徴的である。
1984年盤について
今回の盤は1984年リリースのUK盤で、クラシック・ワン・シュー・レコード・レーベルの円形IQロゴ入りブラウン・スリーヴ再発盤として案内されている。歌詞インサート付きの仕様で、オリジナル盤とは装丁面が異なる。
音源そのものは『Tales From The Lush Attic』の内容を収めたものとして扱われるため、アルバムの中身を聴くうえでは、こうした再発盤でも作品の骨格は十分につかめる。
まとめ
『Tales From The Lush Attic』は、IQの初期の個性がそのまま形になったような作品である。英国産プログレの系譜を引きながら、80年代らしい輪郭のはっきりしたロックとしてまとまっている点が印象に残る。
バンドのその後を知る前に聴いても、後年のIQを知ってから聴いても、初期の核に触れやすいアルバムである。
トラックリスト
- A1 – The Last Human Gateway (19:57)
- A2 – Through The Corridors (2:35)
- B1 – Awake And Nervous (7:45)
- B2 – My Baby Treats Me Right ‘Cos I’m A Hard Lovin’ Man All Night Long (1:45)
- B3 – The Enemy Smacks (13:49)