Pierre Moerlen’s Gong – Time Is The Key (1979)
Pierre Moerlen’s Gong / Time Is The Key
1979年に発表された、Pierre Moerlen’s Gong名義の作品です。Gongの中心人物がPierre Moerlenへ移っていく流れの中で生まれたアルバムで、バンドの性格がサイケデリック寄りの時代から、ジャズ/ロック・フュージョンへはっきり移った後の姿を示している1枚です。アリスタ期の4作のうちの2作目にあたり、同時期の作品群と並べて語られることが多い位置づけです。
作品の位置づけ
GongはDaevid Allen脱退後、メンバー交代を重ねながら変化していき、Pierre Moerlenが事実上のリーダーになっていきます。その過程で、バンド名も他のGong関連プロジェクトや初期Gongと区別するためにPierre Moerlen’s Gongへ変更されました。
この時期の特徴は、マリンバ、ヴィブラフォン、シロフォン、グロッケンシュピールといったマレット楽器の比重が大きいことです。Pierre Moerlen自身に加え、Benoit MoerlenやFrançois Causseがそのサウンドを支えています。ギターやベース、鍵盤も加わるものの、打楽器の存在感がかなりはっきりした編成であることが、このバンドらしさになっているようです。
音の印象
アルバム全体は、ロックの推進力とジャズ的な展開が前面に出た作りです。派手な歌もの中心というより、演奏の組み立てや楽器の重なりを聴かせるタイプの作品です。タイトル曲を含め、曲ごとのリズムの組み替えや、マレット楽器の音色が生む細かなレイヤーが目立ちます。
実際に通して聴くと、メロディを強く押し出す場面よりも、フレーズの受け渡しやアンサンブルの精密さに耳が向きやすい内容です。ピアノ、ギター、パーカッションがぶつかり合うというより、各パートがすき間を作りながら進む印象があります。
参加メンバー
- Pierre Moerlen
- François Causse
- Benoit Moerlen
- Mireille Bauer
- Hansford Rowe
- Peter Lemer
- Allan Holdsworth
- Bon Lozaga
- Ross Record
- Dag Westling
- Christer Rhedin
- Nina Andersson
- Åke Ziedén
- Stefan Traub
- Michael Ogorodov
- Frank Fischer
特にAllan Holdsworthの参加は、この時期のフュージョン寄りの聴きどころとしてよく挙げられる要素です。Holdsworthの流れるようなギター・ワークが、マレット主体のアンサンブルとどう噛み合うかが一つの注目点になっています。
同時代との関係
1970年代後半のフュージョン/プログレ周辺では、演奏技術を前面に出した作品が多く見られますが、このアルバムもその文脈の中にあります。ただし、一般的なジャズ・ロックよりも、打楽器の配置や音色の扱いに独自性があるのがPierre Moerlen’s Gongらしいところです。ジャンル名だけで言えばフュージョンやジャズ・ロックに入るものの、実際の聴感はかなりこのバンド固有の編成に支えられています。
Gong本体の初期作品にあるサイケデリックな語りや浮遊感とはかなり異なり、こちらは演奏主導の音楽です。そのため、Daevid Allen時代のGongを想像するとかなり印象が変わるはずです。
リリース情報
- オリジナル・リリース年: 1979年
- リリース国: Germany
- レーベル表記上の流通: Ariola Group of Companies
- ドイツ西部での印刷表記あり: Mohndruck Graphische Betriebe GmbH, Gütersloh
盤面やジャケットには西ドイツ製造を示す表記があり、当時の欧州盤らしい仕様です。印刷表記が複数言語で入っている点も、この時代の輸出向けプレスを思わせます。
まとめ
Time Is The Keyは、Pierre Moerlen’s GongがGongの名を引き継ぎつつ、独自のフュージョン路線を固めていた時期の作品です。マレット楽器を軸にした編成、演奏重視の構成、そして1979年という時代のジャズ/ロックの空気が、そのまま記録されたアルバムといえます。Gongの中でも、サウンドの方向性が大きく切り替わった後の姿を知るうえで、重要な1枚です。
トラックリスト
- A1 – Ard Na Greine (6:11)
- A2 – Earthrise (2:25)
- A3 – Supermarket (3:37)
- A4 – Faerie Steps (5:34)
- A5 – An American In England (2:57)
- B1 – The Organ Grinder (3:57)
- B2 – Sugar Street (2:22)
- B3 – The Bender (3:20)
- B4 – Arabesque Intro (3:23)
- B5 – Arabesque (1:52)
- B6 – Esnuria Two (5:35)
- B7 – Time Is The Key (2:22)