Rick Wakeman – Journey To The Centre Of The Earth (1974)
Rick Wakeman『Journey To The Centre Of The Earth』について
Rick Wakemanの『Journey To The Centre Of The Earth』は、1974年に発表された作品で、プログレッシブ・ロックと現代音楽的な要素が強く出た大作として知られている。キーボード奏者としての技巧を前面に出しながら、オーケストラ、合唱、語りを含む構成で、ロック作品でありながら舞台作品のようなスケールを持つアルバムだ。
Rick Wakemanは、Yesのメンバーとしても知られる英国のキーボード・プレイヤー、作曲家、ソングライターで、ソロではコンセプト性の強い作品をいくつも残している。このアルバムは、その中でも特に大規模で、ソロ・アーティストとしての存在感を広く印象づけた一枚といえる。
作品の位置づけ
本作は、ジュール・ヴェルヌの小説『地底旅行』を題材にした作品。ロック・アルバムという形式を取りながら、物語を音で追っていく構成になっており、Wakemanのソロ活動の中でも代表的な作品として扱われることが多い。1970年代前半の英国プログレらしい、長尺で組曲的な発想がはっきり出た内容だ。
同時代の文脈で見ると、YesやGenesis、Emerson, Lake & Palmerのような、演奏技術と大きな構成を重視するグループと並べて語られることがある。特に、キーボードを軸にオーケストラまで巻き込んだ作りは、当時のプログレ作品の中でもかなり大掛かりな部類だ。
この日本盤について
今回の日本盤は、見開きジャケット、帯、2種類のインサートが付いた仕様。カバーは米国盤SP-3621の体裁を使っており、背表紙に「printed in U.S.A.」の表記がある一方、表面には日本盤カタログ番号と価格を示す青い楕円形のステッカーが貼られている。
- 米国印刷の8ページ・フルカラー冊子
- 日本語ライナーノーツ付きの6ページ冊子
- 映画版『地底旅行』の画像
- 英語・日本語のナレーション・テキスト
表記にも少し違いがあり、ジャケットでは英国式の「Centre」、レーベルでは米国式の「Center」が使われている。こうした細かな違いも、各国盤を見比べる楽しさの一つだ。
録音と制作
録音は1974年1月18日、ロンドンのロイヤル・フェスティバル・ホールでのコンサートで行われた。録音にはRonnie Laneの「Lyn Mobile Studio」が使われ、ミックスは同年1月21日から29日にかけてロンドンのMorgan Studiosで行われている。ライヴ録音を土台にしながら、アルバム作品としてのまとまりを作っていった流れが見える。
クレジットにはGarry Pickford-Hopkinsの参加もあり、彼はChrysalis Recordsの厚意による参加として記されている。作品全体は、Wakemanの鍵盤群に加えて、オーケストラ的な広がりと語りの要素が重なる作りになっている。
聴きどころ
この作品の中心は、やはり長大な組曲構成と、キーボードを使った場面転換の多さにある。シンセサイザーやオルガン、ピアノ系の音色が次々に現れ、物語の進行に合わせて曲調が切り替わっていく。単に技巧を見せるだけでなく、展開の速さそのものが作品の推進力になっている印象だ。
代表的な曲として単独で広く知られるタイプのヒット曲は、この作品ではあまり前面に出ていない。ただし、アルバム全体がひとつの大きな流れとして記憶されやすく、Rick Wakemanの代表作としてまず名前が挙がる作品の一つにはなっている。
まとめ
『Journey To The Centre Of The Earth』は、1974年当時のプログレッシブ・ロックの大きなスケール感を、そのままソロ・アルバムに落とし込んだような作品だ。物語性の強い構成、オーケストラ的な広がり、そしてRick Wakemanの鍵盤演奏が一体になった内容で、彼のキャリアを語るうえで外しにくい一枚といえる。
トラックリスト
- A1 – The Journey
- A2 – Recollection
- B1 – The Battle
- B2 – The Forest