Yes – Close To The Edge = 危機 (1972)
Yes『Close To The Edge = 危機』について
Yesの『Close To The Edge = 危機』は、1972年に発表された5作目のスタジオ・アルバムである。プログレッシブ・ロックの代表作として語られることが多く、バンドの中でも特に評価の高い作品として知られている。日本盤では『危機』という邦題が付けられ、1972年の発売時点で国内でも紹介されている。
Yesは、長尺の曲構成、組曲的な展開、抽象的な歌詞、緻密な演奏で知られるイングリッシュ・ロック・バンドである。本作は、その特徴がまとまった形で示された作品といえる。メンバーにはJon Anderson、Steve Howe、Chris Squire、Rick Wakeman、Bill Brufordが参加しており、バンドの古典的な編成として記憶されることが多い。
アルバムの位置づけ
『Close To The Edge』は、Yesのディスコグラフィの中でも転機になった作品である。前作までに築いてきた演奏面の完成度をさらに押し進め、より大きな構成と密度の高いアンサンブルへ到達している。1970年代前半のプログレッシブ・ロックの流れの中でも、Genesis、Emerson, Lake & Palmer、King Crimsonと並べて語られることが多い一枚である。
制作の背景としては、Siddharthaに触発されたことや、当時のバンドの精神状態が反映されたとされる。そうした文脈もあってか、単なる楽曲集というより、1枚の長い組曲を聴く感覚に近いアルバムである。
収録曲の中心
本作の代表曲は、アルバム冒頭を飾る「Close To The Edge」である。約18分の大作で、複数のパートが連なりながら展開していく。静かな導入から、複雑なリズム、コーラス、ギターとキーボードの応酬へと進む構成で、Yesらしさがもっとも分かりやすく出ている曲といえる。
この曲はシングルとしても切り出されており、アルバムの顔として扱われてきた。派手なヒット曲というより、バンドの代表作、あるいはプログレッシブ・ロックの象徴的な楽曲として定着している。
聴きどころ
実際に聴くと、演奏の情報量がかなり多い作品である。ベースはChris Squireの高い音像が前に出ており、ギターはSteve Howeのフレーズが細かく入り、Rick Wakemanの鍵盤が場面を切り替える。Bill Brufordのドラムも、拍の取り方が単純ではなく、曲の推進力を細かく作っている。
歌メロはJon Andersonの高い声質が印象に残る。英語詞の響きも含めて、楽器群と同じくらい音として配置されている印象が強い。各パートが競い合うというより、隙間を埋めながら全体を組み上げている演奏である。
サウンドと時代背景
1972年という時期は、プログレッシブ・ロックが成熟していった時代である。Yesの本作は、その中でも特に構築的な作品として位置づけられる。ロックの基本編成を保ちながら、クラシック音楽的な展開や長大な構成を持ち込んでいる点が特徴である。
同時代のバンドと比べても、Yesは演奏の精密さと高音域のコーラス、そして組曲のような曲作りで個性を作っている。本作ではその方向性がかなり明確で、後のアルバムにもつながる中心点になっている。
日本盤について
この日本盤はAtlantic盤をWarner-Pioneer Corporationが流通したものとして記録されている。日本での初期紹介盤として、邦題「危機」を付した形で受け止められていたことが分かる。1972年当時の国内ロック・リリースとしても、プログレッシブ・ロックの存在感を示す一枚である。
まとめ
『Close To The Edge = 危機』は、Yesの代表作として扱われることが多いアルバムである。長尺曲「Close To The Edge」を中心に、演奏、構成、コーラスのまとまりが強い作品で、1970年代プログレッシブ・ロックの基準点のひとつとして語られている。Yesの音楽性を知るうえで、重要な位置にある一枚である。
トラックリスト
- Close To The Edge (18:12)
- And You And I (10:40)
- B2 – Siberian Khatru (9:50)