Pallas – The Wedge (1986)
Pallas『The Wedge』について
『The Wedge』は、スコットランド・アバディーン出身のプログ・ロック・バンド、Pallasが1986年に発表した作品です。UKのプログ・ロック・リヴァイヴァルの文脈で語られることが多いバンドで、Marillion、Pendragon、IQ、It Bitesと並べて紹介されることもあります。70年代プログの要素を引き継ぎながら、80年代らしい音作りと構成感を持ち込んでいった世代の一枚として位置づけられる作品です。
バンドの流れの中での位置
Pallasは1976年にRainbowという名前で結成され、その後Ritchie BlackmoreによるRainbow名義の使用を受けてPallasへ改名した経緯を持ちます。『The Wedge』は、そうしたバンドの活動がUKのプログ・ロック再興の流れと重なっていた時期の作品です。メジャーシーンの大きな注目を集めるタイプというより、コアなファン層に支えられたバンドの代表的な時期を示すタイトルとして見られることが多いです。
アーティストのディスコグラフィーの中では、初期の勢いを受けて出てきた作品の一つとして捉えやすいです。のちにバンドは3作目のスタジオ・アルバム以降、レーベルや音楽メディアからの関心が薄れ、活動が半ば停滞した時期を迎えますが、『The Wedge』はその前段階にあたる1986年の重要な記録です。
作品の内容と盤の情報
この盤は1986年のUKリリースで、オリジナル作品と同年のプレスです。クレジット上では、全曲がAthenae Music Publishing Ltd.とVirgin Music (Publishers) Ltd.に帰属し、Smoothside Organisation制作、Made in England、歌詞入りの内袋付きという仕様になっています。80年代のLPらしい体裁で、歌詞を追いながら聴ける作りです。
メンバー表記には、Ronnie Brown、Paul Mackie、Mike Stobbie、Euan Lowson、Derek Forman、Niall Mathewson、Graeme Murray、Alan Reed、Colin Fraser、Craig Andersonの名前が並びます。Pallasは編成の厚みを活かしたアレンジで知られるバンドで、この時期の作品でも、楽器ごとの役割が明確な構成が想像しやすいです。
同時代の文脈
1986年のUKプログ・ロックは、70年代の大規模な商業的ピークとは違い、より限られたシーンの中で発展していた時期です。Pallasもその中にあり、MarillionやIQのように、長尺曲や展開の多い構成を80年代的な音像に落とし込む流れと近いところにいます。初期プログの直接的な模倣というより、当時のロック・プロダクションの中でプログの形式を維持している印象です。
聴きどころとして挙げやすい点
実際に聴くと、バンドの持つ緊張感と、曲展開をきちんと組み立てていく姿勢が前面に出るタイプの作品として受け取られることが多そうです。プログ・ロックでは、演奏の技巧だけでなく、曲の中で場面が切り替わる設計が重要になりますが、Pallasはその部分に重心を置くバンドとして語られてきました。
また、作品全体を通して、歌詞を載せた内袋が付くことからも、言葉と構成の両方を追う前提のアルバムだったことがうかがえます。音だけで押し切るタイプではなく、曲順を通して聴く意味がある作りの作品として扱われやすいです。
まとめ
『The Wedge』は、PallasがUKプログ・ロック再興の流れの中で発表した1986年作です。バンドの初期から中期にかけての動きを示す一枚であり、同時代のMarillion、Pendragon、IQ、It Bitesと並ぶ文脈で見えてくる作品でもあります。80年代のUKプログを追ううえで、Pallasというバンドの輪郭をつかむ手がかりになるタイトルです。
トラックリスト
- A1 – Dance Through The Fire (4:48)
- A2 – Throwing Stones At The Wind (5:15)
- A3 – Win Or Lose (4:37)
- A4 – The Executioner (Bernie Goetz A Gun) (5:38)
- B1 – A Million Miles Away (Imagination) (4:40)
- B2 – Ratracing (8:00)
- B3 – Just A Memory (5:30)