Vytas Brenner – Hermanos (1974)
Vytas Brenner『Hermanos』について
『Hermanos』は、ベネズエラのギタリスト/キーボード奏者、Vytas Brennerが1974年に発表した作品である。電子楽器、ロック、ラテン、フォーク、そしてベネズエラの伝統音楽を交差させていく彼の初期活動を知るうえで、重要な位置にある一枚といえる。
Brennerは1946年にドイツのチュービンゲンで生まれ、1949年に家族とともにベネズエラへ移住した。のちに米国テネシー州で音楽を学び、電子音楽のコースも修めている。その経歴が示す通り、彼の音楽はローカルな民俗性だけでなく、米国の教育環境で身につけた作曲・編曲の感覚も含んだものになっている。
作品の位置づけ
『Hermanos』は、Brennerが1972年に結成した自身のバンド、La Ofrendaによる活動期と重なる時期の作品である。彼はこの時期から、エレクトリック/エレクトロニックな音色とアコースティック楽器、ピアノを組み合わせ、プログレッシブ・ロック、ラテンのリズム、ベネズエラの伝統音楽をひとつの流れにまとめていった。後年の代表的な仕事へつながる、初期の実験と整理の段階として見ることができる。
音の特徴
ジャンル表記としては Electronic、Rock、Latin、Folk、World & Country にまたがり、スタイルは Folk Rock、Latin、Prog Rock に置かれている。実際にこの時代のBrenner作品を追うと、単純なロック・バンドの演奏だけではなく、鍵盤のレイヤーや電子的な質感が前面に出る場面があり、そこにラテン系のリズムやフォーク寄りの旋律が重なる構成が目立つ。ベネズエラ産のプログレッシブ・ロックとして語られることがあるのも、そのあたりの作りに理由がある。
同時代の文脈で見ると、ラテンアメリカ各地で進んでいたロックのローカライズ、つまり英米由来のロックをその土地の民俗音楽やリズムに接続していく流れの中にある。Brennerの場合はさらに、電子音楽の訓練を受けた人物ならではの音色設計が加わる点が特徴的で、同じく民俗要素とロックを結びつけたアーティスト群の中でも、鍵盤主体の色合いが強い部類に入る。
曲について
この作品に大きく知られたヒット曲があるというより、アルバム全体でBrennerの語法を示すタイプの作品として捉えられる。曲単位での派手なシングル志向というより、連続する編曲や音色の切り替えを含めて聴くと輪郭が見えやすい。
補足
Brennerはその後もLa Ofrenda名義で1970年代を通じて活動を続け、1980年代以降も映画音楽、テレビ、広告、オーケストラとの共演など、幅広い仕事を残している。『Hermanos』は、そうした多方面での活動に先立つ時期の記録として、彼の出発点をよく示す作品である。
ベネズエラのロック史や、ラテン・プログレの流れをたどる際に名前が挙がる一枚。電子的な質感と土着的な要素を同居させた、1974年ならではの実験性が見える作品である。
トラックリスト
- A1 – Agua Clara
- A2 – Madrugada
- A3 – Amanecer
- A4 – Danza Con Pájaros
- A5 – Gavilán
- B1 – Pastos
- B2 – Ganado
- B3 – Estampida
- B4 – Ana Karina Rote
- B5 – Sentado En Una Piedra