Mike Oldfield – Discovery (1984)
Mike Oldfield『Discovery』(1984年)について
Mike Oldfieldの『Discovery』は、1984年に発表されたアルバム。イギリス出身のマルチ・インストゥルメンタリスト、作曲家として知られるOldfieldが、1980年代前半の流れの中で作った作品である。緻密な演奏と構成で知られる彼のディスコグラフィーの中では、比較的コンパクトな楽曲が並ぶ時期の1枚として位置づけられる。
Mike Oldfieldは、1973年の『Tubular Bells』で広く知られるようになったアーティストで、プログレッシブ・ロックを軸に、フォーク、電子音楽、ニューエイジ的な感触まで含む作風で評価されてきた。『Discovery』もその流れの中にあり、メロディを前面に出しつつ、スタジオ作品としての作り込みが感じられる内容になっている。
作品の背景
この作品は、スイスのアルプス、レマン湖を見渡せる標高2000メートルの場所で、晴れた日に録音されたとライナーノーツに記されている。そうした環境もあってか、アルバム全体には屋外の空気感を連想させるような明るさと、整った質感がある。
収録曲のうちシングルとして切られた楽曲もあり、この時期のOldfieldを代表する楽曲群の一部を形作っている。特に1983年のヒット曲「Moonlight Shadow」で広く知られた直後の作品として聴くと、当時の彼がポップなフックと自身の演奏志向をどう組み合わせていたかが見えやすい。
音の印象
『Discovery』は、長尺の組曲を中心にした初期作とは少し違い、楽曲単位で輪郭がはっきりしている。シンセサイザー、ギター、打楽器、ボーカルが整理された形で配置され、1980年代前半らしいレコーディングの輪郭が出ている。
同時代のプログレッシブ・ロックの中でも、過度に複雑さを押し出すというより、ポップ・ソングとしての明快さと、Oldfieldらしい細かなアレンジの両立に重きが置かれている印象。アンビエント的な広がりもありつつ、曲の骨格はかなりはっきりしている。
アーティストの中での位置づけ
『Tubular Bells』のような大作で名を上げたOldfieldにとって、『Discovery』は、1980年代の表現へ軸足を移しながらも、自身の演奏家としての個性を保っている時期の作品と見られる。アルバム単位で大きな構築性を見せるというより、楽曲ごとの印象を積み重ねるタイプの仕上がり。
また、1983年の「Moonlight Shadow」の成功が近い時期にあるため、そのヒットで知られる時代の空気を引き継いだ作品としても捉えやすい。プログレ畑のリスナーだけでなく、80年代のUKポップやシンセ主体の音像に関心がある人にも接点がある内容だろう。
オリジナル盤の特徴
1984年のUK盤には、フルカラー印刷のインナー・スリーブが付属している。片面には『Crises』までのバックカタログを背景にしたOldfieldのポートレート、もう片面には演奏者やスタジオの写真、そして「1973-1983 Mike Oldfield 10」ソングブックの通販オファーが掲載されており、1985年末期限の案内が入っている。
こうした付属物からも、当時のレーベル側がOldfieldを継続的にカタログ化し、過去作の流れを意識して売り出していたことがうかがえる。
まとめ
『Discovery』は、Mike Oldfieldのキャリアの中で、80年代のポップ感覚と彼本来の演奏志向が同居したアルバム。『Tubular Bells』のような大作とは異なる形で、作曲家・演奏家としての表情を見せる一作である。
派手な説明がなくても、録音環境、アレンジ、シングル曲の存在感、そして当時のUKシーンとの距離感がそのまま伝わってくる内容。1984年という年のOldfieldを知る入口として、位置づけが見えやすい作品だ。
トラックリスト
- A1 – To France (4:50)
- A2 – Poison Arrows (3:45)
- A3 – Crystal Gazing (3:02)
- A4 – Tricks Of The Light (3:52)
- A5 – Discovery (4:32)
- B1 – Talk About Your Life (4:24)
- B2 – Saved By A Bell (4:36)
- B3 – The Lake (Instrumental) (12:08)