Flash – Flash In The Can (1973)
Flash『Flash In The Can』について
Flashは、1971年にロンドンで結成されたプログレッシブ・ロック・バンドだ。中心にいたのは、元Yesのギタリストとして知られるピーター・バンクスで、レイ・ベネット、マイク・ハフ、コリン・カーター、トニー・セルビッジらとともに活動していた。本作『Flash In The Can』は1973年にアメリカでリリースされた作品で、バンドの初期を示す1枚として位置づけられる。
作品の輪郭
収録された音は、70年代前半の英国プログレらしい構成感を持ちながら、ギターを前面に出したバンド・アンサンブルが目立つ内容になっている。ピーター・バンクスのプレイが軸になり、複雑な展開とリフ中心の進行が交差する作り。Yes周辺の文脈で語られることもあるが、Flashはよりストレートにバンド演奏の緊張感を出している印象がある。
タイトルや曲順だけを追うより、演奏の流れを通して聴いたほうがこのバンドの性格が見えやすい。キーボード主導の大作というより、ギター、ベース、ドラム、ボーカルの役割分担がはっきりしているタイプのプログレ作品だ。
録音と盤の情報
このレコードはロンドンのDe Lane Lea Studiosで録音されている。70年代の英国ロック/プログレ作品ではよく名前の挙がるスタジオで、当時の録音環境をそのまま反映したような質感がある。アメリカ盤としては、裏ジャケット左下とレーベル周囲の表記に「Manufactured by Record Club of America, York, Pennsylvania under license from Capitol Records, Inc.」とあり、Record Club of Americaのプレスであることがわかる。
なお、この盤はエッチング刻印のランアウトになっている。オリジナル1973年作品としての内容を、アメリカのクラブ盤仕様で持っている形だ。
バンドの中での位置づけ
Flashにとって『Flash In The Can』は、バンドの初期ディスコグラフィーを語るうえで外せない1枚だ。ピーター・バンクスの参加作としても見られやすく、Yesの初期を知る耳で聴くと、ギターの組み立てやアンサンブルの運びに共通点が感じられる場面がある。一方で、Flashは独立したバンドとして、より硬質で直線的なロック感を出している。
同時代の文脈
1973年という時期は、英国プログレが大きく広がっていた時代だ。Genesis、Yes、ELP、Jethro Tullのような大きな名前が並ぶ中で、Flashはその周辺に位置しながら、ギター主体のバンド・サウンドで存在感を出していた。派手な装飾よりも、演奏の組み方や展開の妙で聴かせるタイプの作品として捉えやすい。
まとめ
『Flash In The Can』は、Flashの出発点に近い時期の空気をそのまま閉じ込めた1973年作だ。ピーター・バンクスを中心にした演奏、ロンドン録音、アメリカ盤のクラブ仕様という要素が重なり、70年代前半のプログレ・ロックの一断面を示している。
トラックリスト
- A1 – Lifetime (10:05)
- A2 – Monday Morning Eyes (5:03)
- B1 – Black And White (12:04)
- B2 – Stop That Banging (1:50)
- B3 – There No More (11:35)