Electric Light Orchestra – Electric Light Orchestra II (1973)
Electric Light Orchestra『Electric Light Orchestra II』(1973)
Electric Light Orchestra、通称ELOの初期作。1973年にアメリカで出たアルバムで、バンドの出発点に近い時期の空気がそのまま入った1枚です。もともとELOは、The Moveの流れからビーミングハムで生まれた英国のロック・グループで、弦楽器を前面に押し出した編成と、ロックンロールの推進力を同居させたところに特徴があるバンドです。
この時期のELOは、のちのポップ寄りのイメージよりも、まだ実験性と重厚さが強い段階にあります。シンフォニック・ロックという呼び方が似合う一方で、単にオーケストラを足したロックというより、ロックバンドとしての押し出しを保ったまま弦を組み合わせていく作り。初期ELOを語るうえでは外せない流れの作品です。
作品の位置づけ
1971年のデビューから間を置かずに登場したこのアルバムは、ELOの初期スタイルを確認できる記録として見やすい作品です。Jeff Lynne、Roy Wood、Bev Bevanといった名前が並ぶ時期で、のちの世界的なヒット・バンドになる前の段階の姿がうかがえます。後年の『Eldorado』や『Face the Music』のようにメロディが前面に出る作品とは少し距離があり、まず音の重なりや展開そのものを聴かせる印象です。
サウンドと曲の聴こえ方
この時期のELOは、チェロやヴァイオリンの存在感がかなり大きく、リズム隊の上に弦が乗るというより、弦そのものがバンドの推進力になっている感じがある。ロックンロールの素直なビートに、クラシカルなフレーズや転調めいた動きが入ることで、単調になりにくい作りです。
実際に聴くと、音の密度が高く、曲ごとの輪郭はやや荒い一方で、そのぶん演奏の勢いが前に出ます。初期盤らしいラフさと、スタジオで積み上げた感触の両方があるタイプ。AIR Studios, Londonで録音されたこともあり、英国産のロック録音らしい空気感が残っています。
同時代との関係
同時代のプログレッシブ・ロックやシンフォニックな志向を持つバンドと並べて語られることは多いですが、ELOはその中でもロックンロールの骨格をかなり残している点が特徴です。複雑さだけを追うのではなく、ビートの明快さを保ったまま弦楽アレンジを組み込むところに、このバンドらしさがあります。後年のポップ路線のELOしか知らないと、かなり印象が違うかもしれません。
盤の仕様と当時のリリース
このUS盤は、gatefold cover仕様。Research Craft pressingで、2.875インチのプレス・リングが識別点として挙げられています。ジャケット左側のUAロゴの横に®表記がない点や、裏面の細かな表記も当時盤らしい違いのひとつです。盤面やインナー・スリーブの仕様にいくつかバリエーションが見られるのも、この時代のリリースらしいところです。
また、United ArtistsのStereo-Tape CartridgeやCassetteでも展開されており、当時の流通の幅広さもうかがえます。アナログLPとしての存在感が強い時代の作品です。
まとめ
『Electric Light Orchestra II』は、ELOがまだ巨大なポップ・バンドになる前の、弦楽器とロックの接点を探っていた時期の記録。のちの代表曲群に見られる洗練よりも、まずは編成そのものの面白さ、音の重なり、演奏の熱量が前に出る1枚です。ELOの入口としてというより、初期の姿を知るための作品として印象に残るアルバムです。
トラックリスト
- A1 – In Old England Town (Boogie #2) (6:51)
- A2 – Mama (7:00)
- A3 – Roll Over Beethoven (8:05)
- B1 – From The Sun To The World (Boogie #1) (8:17)
- B2 – Kuiama (11:14)