Metamorfosi – Inferno (1973)
Metamorfosi『Inferno』について
Metamorfosiの『Inferno』は、1973年にイタリアで発表されたプログレッシブ・ロック作品だ。バンドはローマを拠点に活動していたが、歌唱を担うDavide Spitaleriはシチリア出身。中心人物のひとりであるEnrico Olivieriのオルガンやキーボードと、Spitaleriの劇的な歌唱が前面に出る構成で知られている。
グループは1969年に成立し、当時の「ビート・ミサ」系の音楽を演奏していた I Frammenti のメンバーにSpitaleriが加わったところから始まる。デビュー作『…e fu il sesto giorno』で輪郭を示し、この『Inferno』で本領を発揮した、という位置づけになっている。
作品の内容
このアルバムは、2つの長大な組曲を軸にした構成で、ジャケット上では16曲分のタイトルが並ぶが、実際にはそれらがまとまって『Inferno』組曲を形作っている。曲ごとの小さな断片を連ねながら進む作りで、組曲としての流れが強い作品だ。
歌の主役はやはりSpitaleriで、ほぼオペラ的と評されることもある声が、Olivieriのキーボードと強く結びついている。単に歌と伴奏が並ぶのではなく、声と鍵盤が同じ線上で展開していく印象がある。リズム隊はその土台を支え、クラシック音楽の影響を感じさせる鍵盤の動きと、ロックの推進力が交差する形。
バンドにとっての位置づけ
Metamorfosiの作品の中では、この『Inferno』が代表作とされることが多い。1作目では要素の提示にとどまっていた部分が、この2作目でまとまり、より明確な形になった、という見方が一般的だ。
その後、3作目として『Paradiso』が構想されたが、当時は録音・発表まで至らず、バンドはいったん解散している。のちに再結成公演などを経て、長く待たれた『Paradiso』が2000年ごろに改めて現れる流れもあり、この『Inferno』がグループの中核にあることがわかる。
同時代のイタリア・プログレとの関係
1970年代初頭のイタリアでは、RPIと呼ばれるシーンの中で、長尺組曲、鍵盤主体の展開、演劇的なボーカルを持つ作品が多く生まれていた。Metamorfosiもその流れの中にあり、Emerson, Lake & Palmer系の重い鍵盤ロックというより、イタリア語圏らしい声の強さと組曲構成が前面に出るタイプに入る。
『Inferno』という題名どおり、ダンテ『神曲』を思わせる文学的なイメージも重なり、当時のイタリアン・プログレにしばしば見られる大作志向をはっきり示している。
1988年盤について
ここでいう1988年盤は、1973年オリジナルとは別の再発盤として扱われるものだ。説明上ではブートレグ盤として流通した版で、見分けるポイントとしては、ゲートフォールド仕様、歌詞インサート付き、ランアウト部の手書き刻印、SIAEマークの扱いなどが挙げられている。1973年盤はスタンプされた番号が使われていたとされ、この点が差になっている。
また、1988年盤は盤質がやや軽いとされる一方で、音については良好と記されている。レーベル表記のVedette Records (3) についても、実在の正規レーベルというより、Discogs上では偽造・非正規再発を示す文脈で扱われている。
まとめ
『Inferno』は、Metamorfosiが持っていたオペラ的な歌唱、鍵盤主導の構成、組曲形式をもっとも明確に結晶させた作品として見られている。1973年のオリジナル盤と、1988年の再発盤では出自や細部が異なるため、コレクション面では確認点の多いタイトルでもある。
イタリアン・プログレの中でも、声と鍵盤の組み合わせが強く印象に残る1枚、という位置づけの作品だ。
トラックリスト
- A1 – Introduzione
- A2 – Selva Oscura
- A3 – Porta Dell’Inferno
- A4 – Caronte
- A5 – Spacciatore Di Droga
- A6 – Terremoto
- A7 – Limbo
- A8 – Lussuriosi
- A9 – Avari
- B1 – Violenti
- B2 – Malebolge
- B3 – Sfruttatori
- B4 – Razzisti
- B5 – Fossa Dei Giganti
- B6 – Lucifero (Politicanti)
- B7 – Conclusione