Evangelos Papathanassiou – Earth (1973)
Evangelos Papathanassiou「Earth」について
Evangelos Papathanassiou名義の「Earth」は、1973年に発表された作品として扱われる1枚だ。アーティスト名からもわかる通り、のちにVangelisとして広く知られるギリシャ出身の作曲家、編曲家による初期の作品群に連なるタイトルである。電子音楽やプログレッシブ・ロックで知られる前夜の時期にあたり、のちの壮大なシンセサイザー作品とは少し違う、バンド寄りの質感を残した時代の記録として見るとわかりやすい。
作品の位置づけ
Vangelisは後年、映像音楽やシンセサイザー主体の作品で国際的に評価を高めるが、「Earth」はそのキャリア初期にあたる。ここではフォーク・ロックとプログ・ロックの要素が前面に出ていて、同時代のギリシャやヨーロッパのプログレ作品に通じる流れが感じられる。大編成のオーケストラ・サウンドへ進む前の、土の匂いが残るような作りのアルバムとして捉えられる。
Vangelis名義の後年作と比べると、音の中心はかなり異なる。シンセのイメージだけで入ると意外に感じるかもしれないが、メロディの組み立てや曲の運びには、すでに彼らしさの芽が見える。フレーズの置き方や展開の作り方に、作曲家としての視点が出ているタイプの作品だ。
1973年という時代感
1973年は、プログレッシブ・ロックが大きく広がっていた時期でもある。イギリスではGenesis、Yes、Pink Floydなどが強い存在感を持ち、ヨーロッパ各地でもクラシカルな構成や長尺曲を取り入れた作品が増えていた。その流れの中で見ると、「Earth」はロックの文脈にいながら、民謡的な要素や地中海圏らしい旋律感を含む初期プログレ作品の一つとして位置づけやすい。
同系統の耳で聴くと、ギリシャのロック/プログレ史の中でVangelisがどのような立ち位置にいたのかも見えやすい。バンドの熱量だけで押すのではなく、曲の構成や音の配置で聴かせる方向性は、この時期からすでに明確だ。
盤のリリース年について
今回の盤は1979年リリースのものだが、作品そのものは1973年の発表として扱うのが自然だ。したがって、内容面では1973年の作品として聴くのが合っている。盤年が後ろにずれているため、オリジナル盤よりも後年の流通盤、あるいは再発盤として流通した可能性があるが、いずれにしても作品の本体は初期Vangelisの時代に属する。
まとめ
「Earth」は、Vangelisが巨大なシンセサイザー作品へ向かう前の姿を確認できる初期作の一つだ。フォーク・ロックとプログ・ロックの要素を持ちながら、作曲家としての骨格も見える。後年の代表作とは音像が違うが、キャリア全体をたどるうえでは重要な位置にある作品と言えそうだ。
トラックリスト
- A1 – Come On (2:09)
- A2 – We Are All Uprooted (6:48)
- A3 – Sunny Earth (6:38)
- A4 – He-O (4:09)
- B1 – Ritual (2:45)
- B2 – Let It Happen (4:20)
- B3 – The City (1:17)
- B4 – My Face In The Rain (4:19)
- B5 – Watch Out (2:50)
- B6 – A Song (3:32)