The Paul Butterfield Blues Band – The Resurrection Of Pigboy Crabshaw (1968)
The Paul Butterfield Blues Band『The Resurrection Of Pigboy Crabshaw』
The Paul Butterfield Blues Band は、1960年代のアメリカン・ブルース・ロックを代表するグループのひとつだ。ハーモニカ奏者でバンド名の中心人物でもある Paul Butterfield を軸に、ブルースを土台にしながら、ロック、ソウル、ジャズの要素を取り込んでいったバンドである。
『The Resurrection Of Pigboy Crabshaw』は1968年作。バンドの活動がより大きく広がっていく時期の1枚で、初期のシカゴ・ブルース直系の印象から、ホーン・セクションを含むより厚い編成へと進んだ段階を示す作品として位置づけられる。Paul Butterfield のハーモニカだけでなく、バンド全体のアンサンブルの比重がかなり大きいアルバムだ。
作品の輪郭
この時期の Paul Butterfield Blues Band は、Elvin Bishop や Mike Bloomfield が在籍していた初期の編成からさらに変化し、Ralph Walsh、Gene Dinwiddie、David Sanborn、Trevor Lawrence、Steve Madaio らの名前もクレジットされる。ギター主体のブルース・ロックというより、ホーンを前面に出したソウル寄りのバンド・サウンドが核になっている。
収録曲のクレジットを見ると、複数の作家による楽曲が並び、ブルース・カバーとオリジナルが混在する構成になっている。こうした作りは、当時のブルース・ロック系バンドに共通するものでもあるが、このアルバムでは特に「演奏のまとまり」で聴かせる印象が強い。
音の特徴
ハーモニカ・ブルースの要素はもちろん残るが、全体の手触りは電化されたブルース、R&B、ソウル・バンドの方向に寄っている。リズム隊の押し出しが強く、ホーンの短いフレーズが曲の輪郭をはっきりさせる。ギターのリフ、ハーモニカ、ホーンがぶつかり合うというより、分業しながら前へ進む感じだ。
Paul Butterfield の作品群の中では、初期の「ブルースをロックに持ち込む」段階から、「ブルースを土台にしてバンド・アンサンブルを組み立てる」段階へ移ったことが見えやすい。Mike Bloomfield や Elvin Bishop のいた頃のギター主導の熱気とはまた違う、編成の厚みが前に出るアルバムである。
同時代とのつながり
1968年という年は、ブルース・ロックが拡張していった時期でもある。The Paul Butterfield Blues Band は、英国のブルース・ロック勢と比較されることも多いが、元々の出自はアメリカのブルース・シーンにあり、Chicago blues の流れをロックのフォーマットに接続した点で重要だ。
このアルバムでは、単純なブルース・コピーではなく、ソウルやジャズの要素を取り込んだバンド・サウンドが聴ける。後年のより洗練されたクロスオーバー系の流れを先取りした面もあり、当時のブルース・ロックの広がりの中でも少し独特の位置にある。
再発盤について
1989年のUK盤は、オリジナルの1968年盤からかなり時間を置いた再発である。ジャケットやクレジット表記については、裏面表記とレーベル表記で差が出ることがあり、この盤ではB5の作者クレジットがレーベル表記準拠で扱われている。再発盤を手に取る場合は、当時のオリジナル盤とはクレジットや表記の細部が異なることがある。
まとめ
『The Resurrection Of Pigboy Crabshaw』は、The Paul Butterfield Blues Band がブルース・ロックの枠を広げていく過程を示す1枚だ。ハーモニカを軸にしながら、ホーンを含む編成でソウル色を強めたサウンドが特徴で、初期作とは異なるバンドの顔つきが見えてくる。1968年という時代の空気と、ブルースを基盤にしたアメリカン・バンドの変化を感じやすい作品である。
トラックリスト
- A1 – One More Heartache (3:20)
- A2 – Driftin’ And Driftin’ (9:09)
- A3 – Pity The Fool (6:00)
- A4 – Born Under A Bad Sign (4:10)
- B1 – Run Out Of Time (2:59)
- B2 – Double Trouble (5:38)
- B3 – Drivin’ Wheel (5:34)
- B4 – Droppin’ Out (2:16)
- B5 – Tollin’ Bells (5:23)
関連動画
- The Paul Buterfield Blues Band – The Resurrection of Pigboy -1967 (FULL ALBUM)
- The Butterfield Blues Band* – The Resurrection Of Pigboy Crabshaw – side 1
- The Butterfield Blues Band* – The Resurrection Of Pigboy Crabshaw – side 2
- Driftin’ and Driftin’
- Lee Gerstmann reviews The Butterfield Blues Band’s “The Resurrection of Pigboy Crabshaw”
- One More Headache
- The Butterfleld Blues Band – The Resurrection of Pigboy Crabshaw.1967
- The Butterfield Blues Band – Droppin’ Out
- The Butterfield Blues Band – Run Out of Time
- Driftin’ and Driftin’ (Live at The Troubadour, Los Angeles, CA, March, 1970) (1997 Remaster)