Pip Proud – Adreneline & Richard (1968)
Pip Proud『Adreneline & Richard』について
Pip Proudは、オーストラリア出身のシンガーソングライター、詩人、小説家、劇作家として知られる人物で、1960年代後半から独自の作品を残してきた。『Adreneline & Richard』は1968年の作品として扱われるレコードで、フォークを軸にした内容になっている。
タイトルからして少し変わった雰囲気があるが、実際にも、一般的なフォーク・シンガーの枠に収まりきらない人の作品という印象が強い。Pip Proudは歌だけでなく文章表現でも活動していたことから、曲そのものに言葉の置き方や語り口の個性が出やすいタイプのアーティストといえる。
作品の位置づけ
1968年という年は、フォークがシンガーソングライター寄りに広がっていく時期でもある。そうした流れの中で、この作品も、伝統的なフォークの響きと、より個人的な表現が近づいた時代の空気を持つ一枚として見られることが多い。Pip Proudのディスコグラフィーの中でも、初期の姿を知る手がかりになる作品といえる。
アルバムは2014年に再発されており、その盤にはグリーン印刷のインナー・スリーブと歌詞が付属している。また、David Nicholsによるアルバム解説エッセイも収録されている。再発盤としては、当時の作品を補足する資料性の高い形になっている。
音の印象
この作品は、フォークの基本的な編成と、歌詞をじっくり聴かせる作りが中心にある。派手な展開で引っぱるタイプというより、言葉と歌の運びを追うことで輪郭が見えてくるタイプの録音だ。演奏の手触りも、作品全体の気配を前に出すというより、声と言葉を支える方向に寄っている。
聴きどころは、楽曲の構造そのもの以上に、語りかけるような歌唱と、ひとつひとつのフレーズの間合いにある。フォークの素朴さを保ちながら、作家性のある言葉が前に出るところがこの作品らしさになっている。
同時代の文脈
同時代のフォーク・シーンでは、個人の内面や日常の感触を前に出すシンガーソングライターが増えていた。そうした流れの中で見ると、Pip Proudの作品も、単なる伝統曲の再演ではなく、作者自身の言葉を中心に置く方向のフォークとして位置づけやすい。比較対象としては、同じく言葉の比重が高いオーソドックスなフォーク・アーティストよりも、より私的な表現に寄った作家たちの系譜が思い浮かぶ。
補足
- アーティスト名: Pip Proud
- タイトル: Adreneline & Richard
- オリジナル年: 1968年
- 再発盤: 2014年
- ジャンル: Folk, World, & Country
- スタイル: Folk
- 付属物: 歌詞入りのグリーン印刷インナー・スリーブ、David Nicholsによる解説エッセイ
フォークという枠の中で、Pip Proudの個人的な書きぶりや歌い口がどのように出ているかを見るうえで、ひとつの重要な記録になっている一枚だ。
トラックリスト
- A1 – Adreneline And Richard (2:25)
- A2 – The Tennis Player (3:38)
- A3 – There Was Melancholy (3:58)
- A4 – Latin Version (2:12)
- A5 – Into Elizabeth’s Eyes (To Mother Whilst Dying) (4:32)
- A6 – Sounds (3:40)
- B1 – Purple Boy Gang (2:20)
- B2 – De Da De Dum (2:34)
- B3 – When Each Descends (2:18)
- B4 – We Crossed The Atlantic (3:07)
- B5 – The Old Servant (6:32)
- B6 – Laughter And Laughter (2:21)