Mitch Ryder – Rock And Roll / Soul Kitchen (1979)
Mitch Ryder『Rock And Roll / Soul Kitchen』について
Mitch Ryderの『Rock And Roll / Soul Kitchen』は、1979年にUSで出た録音作品で、Rockpalast Nightでのライヴ録音として位置づけられる1枚だ。1960年代にMitch Ryder & The Detroit Wheelsでヒットを重ねたデトロイト出身のシンガーが、70年代後半の時点でどんな歌い方をしていたのかを確認できるタイトルでもある。
アーティストの背景
Mitch Ryderは1945年、ミシガン州ハムトラミック生まれ。デトロイトのロックンロール/R&B圏で頭角を現し、1960年代には自分のバンドを率いてヒットを飛ばした。代表的な活動としては、Mitch Ryder & The Detroit Wheels名義での成功がよく知られている。その後も音楽活動は続き、1969年には新たな編成でThe Band Detroitを結成し、1971年には同名アルバムも残している。
1970年代に入ると商業的な勢いは1960年代ほどではなくなるが、ステージでの実力派シンガーとしての印象は強く残っている。2005年にはMitch Ryder & The Detroit WheelsとしてMichigan Rock and Roll Legends Hall of Fame入り、2009年にはソロとしても同殿堂に選ばれている。
この作品の位置づけ
『Rock And Roll / Soul Kitchen』は、Mitch Ryderのキャリアを振り返ると、初期ヒット期の勢いを知る耳で聴くより、ライブ・アクトとしての持久力を見る作品という印象が強い。タイトルにある「Rock And Roll」は、彼の原点をそのまま示すような語で、そこに「Soul Kitchen」が並ぶ構成も、ロックンロールとソウルの往復運動を続けてきた彼らしい。
同時代のデトロイト勢で言えば、MC5やThe Stoogesのような荒さを前面に出すタイプとは少し違い、Mitch RyderはもっとR&B寄りの歌い回しと、ショウとしての推進力で勝負する側にいる。だからこそ、録音されたライヴでは、曲の知名度以上に、声の押し出しやバンドとの掛け合いが中心になるタイプの作品だと見られる。
収録曲について
タイトルに含まれる「Rock And Roll」は、Mitch Ryderの定番レパートリーとして受け取られやすい曲名だ。彼のキャリア全体を通じても、ロックンロールの直球感と、ソウルの粘りを行き来するスタイルは一貫していて、この作品名もその性格をよく表している。
「Soul Kitchen」は、曲名からも分かるようにソウル色の強い組み合わせを想起させる。ライヴ作品では、曲そのものの構成よりも、テンポの置き方やシャウトの入り方で印象が変わりやすいが、Mitch Ryderの声質にはそうした場面がよく似合う。
聴きどころ
- 1960年代から続く、前に出る歌い方
- ロックンロールとソウルのあいだを行き来する曲の運び
- スタジオ盤よりも、ライヴで輪郭が出やすいタイプのボーカル
- 70年代後半時点での、ベテランとしてのステージ感
まとめ
『Rock And Roll / Soul Kitchen』は、Mitch Ryderという歌い手の核が、そのままライヴの形で残った作品として見ると分かりやすい。1960年代のヒットを知る人には、その延長線上にある声とグルーヴが見えやすいはずだし、デトロイトのロック史を追う上でも、彼が単なる懐古ではなく、舞台の上で自分の持ち味を保っていたことが伝わる1枚だ。
トラックリスト
- A1 – Rock And Roll
- A2 – Soul Kitchen