Genesis – Selling England By The Pound (1973)
Genesis『Selling England By The Pound』について
1973年にUKでリリースされた、Genesisの4作目のアルバム。ピーター・ガブリエル在籍期の代表作としてよく挙げられる1枚で、プログレッシブ・ロックの中でも、組曲的な構成、細かく組み立てられた展開、語り口のある歌詞がまとまっている作品として知られている。Genesisの初期らしい複雑な楽曲作りと、当時の英国的な風景や感覚が前面に出たアルバムでもある。
バンドとしては、デビュー以来の実験性を保ちながらも、楽曲の輪郭がよりはっきりしてきた時期の作品。のちにピーター・ガブリエル脱退後、フィル・コリンズを中心にポップ色を強めていくGenesisとは、かなり違う面を見せている。そうした意味では、バンドの初期像をつかむうえで重要な位置づけのアルバムといえる。
作品の特徴
このアルバムは、長尺曲と短めの曲が混在している構成で、曲ごとの表情の切り替えがはっきりしている。冒頭の「Dancing with the Moonlit Knight」は、アルバム全体の入り口として印象が強く、細かく場面が変わる展開がGenesisらしい。続く「I Know What I Like (In Your Wardrobe)」は、比較的覚えやすいメロディを持ち、バンドの代表曲のひとつとして扱われることが多い。
また、「Firth of Fifth」もよく知られた曲で、ピアノとギターの展開がこの時期のGenesisを象徴する1曲として語られやすい。特にスティーヴ・ハケットのギター・ソロは、このアルバムの聴きどころとして挙げられることが多い。派手な速弾きというより、フレーズの流れで聴かせるタイプの演奏で、曲の組み立てと一体になっている。
全体としては、フォーク寄りの感触、英国的な皮肉や言葉遊び、シアトリカルな歌唱が混ざった内容。キャメルやイエス、ピンク・フロイドなど同時代の英国プログレと並べて語られることもあるが、Genesisはその中でも、歌詞の語り口と演劇的な表現が前に出ている印象がある。
バンドにとっての位置づけ
Genesisは1967年にチャーターハウス・スクールで結成されたUKバンドで、初期はピーター・ガブリエルの歌唱とステージ上での演出が大きな特徴だった。『Selling England By The Pound』は、その初期Genesisの特徴がかなり濃く出た時期の作品で、のちの商業的な成功期とは別の顔を見せるアルバムでもある。
この時期のメンバーは、ピーター・ガブリエル、トニー・バンクス、マイク・ラザフォード、スティーヴ・ハケット、そしてドラムはフィル・コリンズ。バンドの後年を知っていると、ここでの音の密度や構成の細かさは、かなり異なる方向に聴こえるはずだ。
1973年UKオリジナル盤について
この盤は1973年のUK初回プレスで、Mad Hatterラベルの初期仕様。ダークグリーンの厚手のカード製インナー・スリーブが付く仕様で、歌詞入りのバッグ型インナーという点も初期盤らしい特徴になっている。ラベル表記は「Manufactured And Distributed By B&C Records Ltd.」、スリーブには「Marketed by B&C Records, 37 Soho Square, London, W1. Printed & made by the E.J. Day Group, London & Bedford」とある。
レコードとしては、オリジナル時代のUKプレスらしい作り込みのある仕様で、作品の内容だけでなく当時のパッケージングも含めて資料性が高い1枚。Genesisの初期を追ううえでは、音楽面と同じくらい、こうした初回盤の細部も見どころになっている。
まとめ
『Selling England By The Pound』は、Genesisのプログレッシブ・ロック期を代表するアルバムのひとつ。構成の細かさ、物語性のある歌詞、ピーター・ガブリエル時代の演劇的な空気がまとまっていて、バンドの初期像をそのまま切り取ったような作品だ。代表曲としては「I Know What I Like (In Your Wardrobe)」や「Firth of Fifth」がよく挙げられる。1973年のUKオリジナル盤は、Mad Hatterラベルと初期インナーを含む仕様で、当時のリリース形態を知るうえでも興味深い。
トラックリスト
- A1 - Dancing With The Moonlit Knight
- A2 - I Know What I Like (In Your Wardrobe)
- A3 - Firth Of Fifth
- A4 - More Fool Me
- B1 - The Battle Of Epping Forest
- B2 - After The Ordeal
- B3 - The Cinema Show
- B4 - Aisle Of Plenty