Think – We’ll Give You A Buzz (1976)
ニュージーランド、オークランドのプログレ・バンドThinkが1976年に残した唯一のアルバム。WEAの配給でAtlanticレーベル(Z 2001)から出た1枚で、A面3曲、B面3曲の全6曲。4分台の曲もあるが、「Look What I’ve Done」は8分半、「Stringless Provider」は10分半と長尺の曲が軸になっている。当時はほとんど話題にならず、その後ブートレグで広まり、今ではオリジナル盤が高値で取引される1枚になった。
「オリジナルしかやらない」バンドとして
Thinkを構想したのはギタリストのKevin Stanton。オークランドのバンドやTransformerでの経験を経て、パブでの定番仕事はせず、オリジナル曲だけを演奏するグループを目指したという。1973年頃、ポンソンビーでドラムのNeville Jess、ハミルトンのJudge Hoffman出身のベース、Alan Badgerとトリオを結成。変拍子をあれこれ試しながら、北島北部でカルト的な支持を集めていった。
1975年の初めには、Human InstinctやFather Timeでの活動歴を持つギタリストPhil Whiteheadと、オルガンのDon Millsが加わって5人編成に。ところがほどなくメンバー間に緊張が生まれ、Stantonは互いに非難し合う形でバンドを去った。Stantonはその後Brigadeを結成し、さらにMi-Sexに曲を書いてオーストラリアのチャートで成功を収めている。それでもアルバムには、彼が作曲・アレンジしたB面の「Stringless Provider」が収められている。
バトル・オブ・ザ・バンズ優勝からWEAとの契約へ
4人編成になったThinkは、1975年末のバトル・オブ・ザ・バンズで優勝。賞品はP&Oの太平洋クルーズだったそうだ。これをきっかけに、WEAニュージーランドのトップTim Murdochから契約の話が舞い込む。
ライヴ面でも勢いがあり、CabanaやWindsor Castleでのレギュラー出演に加え、自前のPA一式でフロントのサウンドまで自分たちで回していた。1975年11月にはDeep Purple、1976年1月にはThe Doobie Brothersのウェスタン・スプリングス公演で前座を務めている。一方、オークランド・タウンホールでのLittle Featのサポートは、Lowell Georgeが彼らの演奏を認めず、立ち消えになったという話も残っている。
Stebbingsでの1週間
録音は1976年4月、オークランドのStebbings Studioで行われた。プロデュースはJulian Lee、エンジニアはPhil Yule。与えられた時間はわずか1週間で、リード・ヴォーカルを録り直す余裕がなく、ガイド・ヴォーカルがそのままアルバムに使われている。盤のクレジットではミックスまで含めて4月から7月にかけての作業とされている。
アルバム時点の編成は、ギター/ヴォーカル/エフェクトのWhitehead、ベース/ヴォーカルのBadger、キーボード/ヴォーカルのMills、ドラム/パーカッションのJess、そして1976年に加入したヴォーカル/エフェクトのRitchie Pickett。リード・ヴォーカルにWhitehead、Badger、Pickettの3人がクレジットされている。曲作りはバンド全員の名義で、Stantonの「Stringless Provider」だけが別扱い。ジャケットの絵はNeil Veseyによるもの。
ギターとオルガンの掛け合い
アルバムの聴きどころとしてよく挙げられるのは、WhiteheadのギターとMillsのオルガンのやりとり。Millsはハモンド・オルガンとシンセサイザーを担当している。ラストの「Our Children (Think About)」は、テレビ番組『Grunt Machine』のソングライティング・コンテストで優勝した曲でもある。
シドニー移住と解散
1976年12月、バンドは自前のPAごとシドニーへ移る。ところがWEAオーストラリア側の受け入れ態勢が整っておらず、仕事探しにも苦労した。WhiteheadはPickettを解雇し、ドラムはLindsay Brookに交代。1977年にシングル「Arrived In Time」を出し、Mushroom Recordsからは78年まで残れば優先的に扱うという話もあったが、Millsがニュージーランドに戻り、Jessも後を追った。Alan MoonとRobbie France-Shawを迎えた新編成も数回のライヴで終わっている。
1979年にはBadgerとWhiteheadがニュージーランドで再結成し、自主レーベルからシングル「Good Morning」(B面「Peanut Joe」)を発表したものの反響はなく、1980年初めに解散した。Badgerはその後、AC/DCのドラマーPhil Ruddのソロ作『Head Job』(2014年)でベースと歌を担当。WhiteheadはPickettの1998年のアルバム『All Strung Out In A Bunch』で兄弟とともにバックを務めている。
盗まれたマスターと再発
マスターテープは1980年代にStebbingsから盗まれたとされ、後に出回ったブートレグCDはそのマスターに由来するものだったという。2014年には正式にデジタル配信が始まり、2025年には音源を修復したうえでアナログとCDで再発された。オリジナルのAtlantic盤は、当時売れなかったこともあって中古市場では平均600ドルを超える値が付いている。
トラックリスト
- A1 - Light Title (4:08)
- A2 - Look What I've Done (8:32)
- A3 - Rippoff (5:16)
- B1 - Stringless Provider (10:35)
- B2 - Big Ladies (4:00)
- B3 - Our Children (Think About) (6:13)