Caravan – If I Could Do It All Over Again, I’d Do It All Over You (1970)
Caravan / If I Could Do It All Over Again, I’d Do It All Over You
Caravanの2作目となるアルバムで、オリジナルは1970年リリース。Canterbury周辺のシーンを代表するバンドの初期作で、ジャズ寄りのフレーズ、サイケデリック・ロック、英語圏のプログレッシブ・ロックの要素が、すでにこの時点でまとまっている作品だ。
バンドの位置づけ
Caravanは、Wilde Flowersの流れから1968年に結成された。オリジナル・メンバーのDavid Sinclair、Richard Sinclair、Pye Hastings、Richard CoughlanはいずれもWilde Flowers在籍歴がある。のちのCanterbury sceneを語るときに外しにくいバンドで、同時代のソフト・マシーンや、よりジャズ色の強い周辺グループと並べて語られることが多い。
本作は、Caravanがまだ大きく商業的に広がる前の段階の記録でもある。のちの代表作『In the Land of Grey and Pink』の前に置かれる作品として、バンドの基本線をつかみやすい位置にある。
内容の特徴
アルバム全体は、長めの曲構成と、曲間のつながりを意識した作りが目立つ。ハモンド・オルガン系の音色、メロディをなぞるベース、変化の多いリズムが前面に出ていて、いわゆるハード・ロックの押しの強さとは別の方向で進む。歌ものとしての分かりやすさも残しつつ、演奏の展開で引っ張る作りだ。
タイトル曲「If I Could Do It All Over Again, I’d Do It All Over You」は、この時期のCaravanを代表する曲として知られる。バンド名義の中でもよく取り上げられる楽曲で、ライブでも軸になりやすいタイプの曲だ。軽いユーモアを含んだ題名も含めて、Caravanらしさが出ている。
この盤について
ここで扱うのはヨーロッパ盤の80年代再発で、シルバー地に赤と青の縁取りが入ったDeccaラベルの仕様だ。オリジナルの1970年UK初版は青ラベルのDecca盤として出ており、再発盤とはレーベル表記の見た目が異なる。収録内容は同じでも、盤の装いは時代の違いがはっきり出るタイプだ。
同時代との関係
1970年前後の英国ロックでは、キング・クリムゾンのような重厚なプログレ、ソフト・マシーンのようなジャズ寄りの実験、そしてCaravanのようなメロディを保った展開型ロックが、それぞれ別の方向で進んでいた。本作はその中でも、複雑さを前に出しすぎず、楽曲の流れで聴かせる側に入る。
まとめ
『If I Could Do It All Over Again, I’d Do It All Over You』は、Caravanの初期像をはっきり示す1970年作。Canterbury系プログレの基礎を知るうえで、バンドのメンバー構成、音の運び、曲の長さの使い方が見えやすい一枚だ。タイトル曲を中心に、Caravanがどの方向へ進んでいくのかを早い段階で示した作品として、位置づけはかなり分かりやすい。
トラックリスト
- A1 – If I Could Do It All Over Again, I’d Do It All Over You
- A2a – And I Wish I Were Stoned
- A2b – Don’t Worry
- A3 – As I Feel I Die
- A4a – With An Ear To The Ground You Can Make It
- A4b – Martinian
- A4c – Only Cox
- A4d – Reprise
- B1 – Hello Hello
- B2 – Asforteri 25
- B3a – Can’t Be Long Now
- B3b – Françoise
- B3c – For Richard
- B3d – Warlock
- B4 – Limits