Time – Time II (1975)

旧ユーゴスラビア、ザグレブのバンドTimeが1975年に出した2作目。ベオグラードのPGP RTBからのリリース(LP 55-5251)で、見開きジャケット仕様。中心にいるのはヴォーカルのDado Topićで、作曲もほぼ彼ひとり。収録は全6曲で、ここからは「Da Li Znaš Da Te Volim」が国中に知られるヒットになった。ただ、このアルバムが出来上がるまでの経緯がなかなか波乱含みだ。

Korni Grupaを出たTopićとデビュー作

Topićは60年代からĐavolji Eliksiri、Dinamitiで歌い、1969年から71年まではKorni Grupaに在籍していた。1971年9月にKorni Grupaを離れると、マネージャーのVladimir Mihaljekとともにザグレブで新バンドを結成。それがTimeで、最初の編成はTopić、ギターのVedran Božić、キーボードのTihomir “Pop” Asanović、ベースのMario Mavrin、ドラムのRatko Divjak、ピアノとフルートのBranimir Živkovićだった。

1972年にJugotonから出たデビュー作『Time』は、最初わずか500枚しかプレスされなかったものの、反響が大きく何度も再プレスされた。現在ではユーゴスラビアのロック史上でも特に重要な作品のひとつとして扱われることが多い。

メンバーの流出、そして服役中の曲作り

ところが1973年の初めにはMavrinとŽivkovićが脱退し、まもなくDivjakも抜けてしまう。以降はドラムのPetar “Peco” Petejが数少ない固定メンバーとなり、ベースはNenad Zubak、Karel “Čarli” Novak、そしてTopić自身が入れ替わりで担うような状態だった。Timeはその長い歴史の中で50を超える編成を経たとも言われている。

さらに1974年、Topićは兵役逃れの罪で逮捕される。社会主義青年同盟のメンバーとの衝突が絡んだ見せしめ裁判だったとも伝えられている。この2作目の曲は、Topićがその刑期中に書いたもの。B面ラストの「Živjeti Slobodno」(自由に生きる)は、まさに獄中生活から着想を得た曲だという。

陸軍休暇のギタリストとリュブリャナでの録音

録音はTopićの出所後、リュブリャナのStudio Akademikで行われた。参加したのはTopić(ベースとアレンジも担当)、Asanović、そして一度は脱退していたDivjak。ギターにはYU GrupaのDragi Jelićがゲストで加わっている。Jelićは当時リュブリャナで兵役中で、陸軍の休暇を使ってセッションに参加したそうだ。ジャケットでは演奏者のクレジットが表記されていないため、この顔ぶれはDiscogsなどで後から補われた情報になる。

プロデューサーはDrago Diklić、音楽面のプロデュースにはバンド結成以来のマネージャーVladimir Mihaljekが名を連ねる。録音後、今度はTopić自身が兵役に就き、1974年11月からツェリェの部隊に入った。アルバムが世に出たのは、彼がまだ軍にいる間のこと。除隊は1975年10月だった。

収録曲

オープニングの「Divlje Guske」(野生のガチョウ)は、セルビアを代表する詩人Desanka Maksimovićの詩に曲を付けたもの。続く「Balada O 2000」は、作曲がAlberto Krasnić、作詞がTopićで、アルバムで唯一Topić以外が曲を書いたナンバーになっている。

A面最後の「Da Li Znaš Da Te Volim」(愛しているって知っているかい)にはDečo Žgurによる弦のアレンジが入る。このバラードがユーゴスラビア全土でのヒットとなり、PGP RTBからシングルとしても出されたようだ。B面は車の名前をそのままタイトルにした「Alfa Romeo GTA」で始まり、「Dok Ja I Moj Miš Sviramo Jazz」(僕とネズミがジャズをやっている間に)、そして「Živjeti Slobodno」で締めくくられる。

デビュー作に比べると、複雑さを抑えたサウンドへの移行が見られる作品とされている。「Alfa Romeo GTA」はその変化がよく出た曲として挙げられることが多い。1998年に発表されたユーゴスラビアのロック/ポップ・アルバム100選『YU 100』では52位に選ばれている。

その後のTime

除隊したTopićはアルバムのツアーを行った後、Petejとともにロンドンへ渡り、The Foundationsのある時期の編成に加わってイングランドで43公演をこなした。1976年1月のユーゴスラビア・ツアーを機に帰国してTimeを再始動させ、イギリス人キーボード奏者Chris Nichollsを迎えてミュンヘンで3作目『Život U Čizmama Sa Visokom Petom』(1976年)を録音。ロック・スターの栄光と転落を描くコンセプト・アルバムで、「Rock ‘n’ roll u Beogradu」「Superstar」がヒットした。

バンドは1977年のベオグラード、Pinki Hallでの公演を最後の大舞台として、同年末に正式に活動を終えた。Topićはその後ソロで活動し、1984年にはSlađana Miloševićとのデュエット「Princeza」をヒットさせている。Timeとしては1987年のザグレブでの再結集をはじめ散発的にステージに立ち、2007年にはモンテネグロのブドヴァでThe Rolling Stonesの前座を務めた。2012年にはクロアチアの音楽賞Porinで功労賞を受けている。

トラックリスト

  • A1 - Divlje Guske
  • A2 - Balada O 2000
  • A3 - Da Li Znaš Da Te Volim
  • B1 - Alfa Romeo GTA
  • B2 - Dok Ja I Moj Miš Sviramo Jazz
  • B3 - Živjeti Slobodno
2026.11.06
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