Abacus – Just A Day’s Journey Away! (1972)
Abacus『Just A Day’s Journey Away!』について
Abacusは、ドイツ・ハムで1960年代後半に結成されたロック・バンドで、もともとはFashionという名前で活動していたグループだ。のちに英語圏出身のヴォーカル、Chris Williamsを加えてAbacusとなり、1971年に現在の名義へ移行している。今回の『Just A Day’s Journey Away!』は、オリジナルでは1972年の作品として扱われる1枚で、2012年にドイツで再発された盤になる。
Abacusの初期作品は、クラシック音楽寄りの要素を持つプログレッシブ・ロックとして知られていて、ブリティッシュ・プログレとクラウトロックの要素をあわせ持つ作風に位置づけられている。このアルバムも、その時期の流れを受ける作品として見てよさそうだ。バンドの中でも初期の重要な時期にあたる1枚で、後年のややユーモラスでクセのある方向へ進む前の、比較的まっすぐな時代の記録という位置づけになる。
作品の内容と盤の情報
この2012年盤は、デジタル・リマスター仕様で、EU製。シングル・ジャケットにポリライニングのインナー・スリーブという構成になっている。ランアウトは基本的にエッチングで、記載の一部のみスタンプという仕様だ。
収録面では、B面の4曲目と5曲目がボーナス・トラックで、1981年夏に録音された未発表音源から追加されている。つまり、オリジナルの1972年作品そのものに、後年の未発表素材が加わった再発盤という形だ。
Abacusの中での位置づけ
Abacusはその後、よりポップ寄りで、少し遊びのある作風へ変化していくが、この時期はまだ初期のプログレ色が強い段階にある。バンド史の中では、最初期の個性がまとまって表れた時期として見ることができる。Klaus Kohlhaseをはじめとするメンバーの変遷も多いバンドだが、この作品はそうした変化が本格化する前の記録として重要だ。
同時代の文脈
1970年代前半のドイツのロックでは、クラウトロックとプログレッシブ・ロックの境界が近い作品が多く、このアルバムもその流れの中にある。イギリスのプログレの構成感と、ドイツ的な硬質さが同居するタイプの作品として語られることがある。比較対象としては、同時代のドイツ勢の中でも、よりシンフォニックな側面を持つバンドや、実験性を前面に出すバンドと並べて見られることが多い。
補足
作品内の代表曲やヒット曲については、少なくともこの再発盤の情報からは特定しにくい。アルバム単位で聴かれることが前提の作りという印象で、曲ごとのシングル性よりも、当時のバンドのサウンドや構成の流れを追う楽しみがある1枚だ。
Abacusというバンド名のもとで残された初期の録音として、1972年当時の空気と、2012年再発盤ならではの追加音源が同居した作品になっている。
トラックリスト
- A1 – Seasong (7:09)
- A2 – München 23 (5:04)
- A3 – Hamm Spring ’71 (3:58)
- A4 – Ballad Of Lucky Luke (3:00)
- B1 – Continued On Page 2. Col./6 (5:13)
- B2 – White House May Come White House May Go (4:12)
- B3 – What Else (9:06)
- B4 – Rocky Mountain Cowboy (4:24)
- B5 – Backstage (2:40)