Nektar – Down To Earth (1974)
Nektar『Down To Earth』について
Nektarの『Down To Earth』は、1974年に発表された5作目のスタジオ・アルバム。英国出身のメンバーが西ドイツで活動していたバンドの作品で、プログレッシブ・ロックとサイケデリック・ロックの要素を軸に、当時のNektarらしい構成重視の音作りがまとまっている。
このバンドは、音楽だけでなくライヴの演出でも知られたグループ。液体照明を使ったショウと、Helmut Wenskeによるアートワークの結びつきも含めて、70年代プログレの中でも視覚面の印象が強い存在だった。『Down To Earth』も、その流れの中にある作品として位置づけられる。
作品の位置づけ
『Down To Earth』は、Nektarのディスコグラフィの中では中期にあたるアルバム。初期のサイケデリックな感触と、より組曲的な展開をもつプログレ的な作りが同居している時期の1枚として見られる。
録音は1974年3月22日から4月1日にかけてイングランドのChipping Norton Studiosで行われ、その後ドイツのDierks Studiosでリミックスされた。さらに「Astral Man」と「Early Morning Clown」は別日程で再ミックスされている。制作の過程が複数のスタジオをまたいでいる点も、この時期のNektarらしい国際的な制作環境を示している。
アメリカ盤について
ここで扱うのは、1975年に出たUS盤。Passportレーベルの初回US盤は、ラベル外周に印字がない仕様とされている。後年の再発では、外周に「Passport Records Inc. Marketed by ABC Records Inc. L.A. Calif…」や「Passport Records / Distributed By Famous Music Corp., New York 10023 / A G + W Company」といった表記が入るため、見分けの手がかりになっている。
また、プレスはColumbia Records Pressing Plant, Terre Hauteによるものとされている。マトリクスにはSTERLINGの刻印があり、ニューヨークのSterling Soundでマスタリングされた盤であることが確認できる。
内容と聴きどころ
アルバムには、Nektarの持ち味である長めの展開、音数の多いバンド・アンサンブル、そして曲ごとの雰囲気の切り替えが見られる。録音・ミックスの記録からも分かる通り、単純なライヴ録音系ではなく、スタジオでの作り込みが前提になっている作品。
「Astral Man」は再ミックスが行われた曲で、アルバム内でも存在感のある1曲として扱われることが多い。「Early Morning Clown」も再ミックス対象で、曲順の中で印象を残す要素になっている。
同時代の文脈
1974年のNektarは、英国プログレの流れの中にいながら、活動の拠点がドイツであった点が特徴的。King CrimsonやYesのような英国勢と同時代の文脈に置かれつつも、よりサイケデリックで、ライヴ演出込みの総合表現として語られることが多い。
『Down To Earth』は、そのバンド像がよく出た時期の記録として見ることができる。音だけでなく、制作地、再ミックスの経緯、ジャケット写真の撮影場所まで含めて、複数の国をまたぐ作品になっている。
まとめ
『Down To Earth』は、Nektarの中期を代表する1974年作。US盤は1975年リリースで、Passport初回盤のラベル仕様やTerre Hauteプレス、Sterlingマスタリングなど、盤としての情報もはっきりしている。バンドのスタジオ作業と当時の国際的な活動環境がそのまま反映された1枚と言えそうだ。
トラックリスト
- A1 – Astral Man (3:07)
- A2 – Nelly The Elephant (5:02)
- A3 – Early Morning Clown (3:21)
- A4 – That’s Life (6:49)
- B1 – Fidgety Queen (4:04)
- B2 – Oh Willy (4:00)
- B3 – Little Boy (3:03)
- B4 – Show Me The Way (5:55)
- B5 – Finale (1:36)