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Mike Oldfield – Crises (1983)

Mike Oldfield『Crises』(1983)について

Mike Oldfieldは、英国出身のマルチ・インストゥルメンタリスト/作曲家。ギター、ベース、キーボード、パーカッションまで自ら幅広く扱い、長尺の組曲的な構成と、ロックを土台にした多層的なアレンジで知られる人物だ。1973年の『Tubular Bells』で名を広く知られるようになり、その後もプログレッシブ・ロック、フォーク、民族音楽、電子音楽などを横断しながら作品を重ねてきた。

『Crises』は1983年に発表されたアルバムで、同年のUK盤としてリリースされた。Mike Oldfieldの80年代前半を代表する1枚として見られることが多く、この時期の彼の音楽が、長大なインストゥルメンタル作品と、より明快な歌ものの両方を含んでいたことがわかる内容になっている。

作品の位置づけ

『Crises』は、Mike Oldfieldのキャリアの中でも、70年代から続くプログレッシブな作曲感覚と、80年代的なポップ感覚が同居している時期の作品だ。アルバムには、後にシングルとしても知られる曲が含まれており、彼の代表的な作品群の中でも比較的入り口が見えやすい時代の一枚と言える。

録音は1982年11月から1983年4月にかけて、イングランドのDenhamで行われたと記されている。使用機材として Ampex ATR 124、NEVE 8108 with NECAM、Westlake Monitors がクレジットされており、当時のスタジオ録音らしい制作環境がうかがえる。

収録曲と代表曲

このアルバムからは複数の曲がシングルとして扱われており、特に「Moonlight Shadow」はMike Oldfieldの代表曲として広く知られている。1983年のヒット曲で、彼の名前を広く一般層に届かせた重要な楽曲だ。アルバム全体の中でも、この曲の存在はかなり大きい。

また、ノートには北米盤のみでシングル化された曲や、1987年にシングルとして出た曲も含まれていることが示されている。つまり、『Crises』はアルバム単体としてだけでなく、複数のシングルを通じて長く参照された作品でもある。

聴きどころとして見える点

このアルバムでは、Mike Oldfieldらしい緻密な重ね録りと、曲の展開をゆっくり組み上げる作りが残っている一方で、シングル向けの明確なフックも前面に出ている。長い構成の中で音色が少しずつ入れ替わっていく感覚と、歌のある曲のわかりやすさが同居しているのが特徴だ。

また、クレジットにはJon Andersonの参加が記されている。Yesのヴォーカリストとして知られる人物で、当時のプログレ周辺の人脈がこの作品にもつながっていることがわかる。

同時代の文脈

1983年という時期は、70年代的な長尺プログレがそのまま主流だったわけではなく、より短い曲構成やシンセサイザー主体の音作りが広がっていた。Mike Oldfieldもその流れを受けつつ、従来の作曲法を完全には手放していない。そうした意味で『Crises』は、プログレッシブ・ロックの手法を80年代の音像に落とし込んだ作品として見やすい。

比較対象としては、同じく長い構成を持ちながら80年代に活動を続けたプログレ系アーティストや、メロディを前面に出しつつ精密なアレンジを組む英国ロックの系譜が思い浮かぶ。とはいえ、Mike Oldfieldの作品は、あくまで本人の多重録音と作曲の流れが核になっている点で独特だ。

細かな記載

  • 録音期間: 1982年11月〜1983年4月
  • 制作地: Denham, England
  • レーベル表記: Virgin Records Ltd.
  • 国表記: Made in England
  • バックカバーの記載: “The watcher and the tower / Waiting hour by hour”
  • Special thanks: Sally, Molly and Dougal

まとめ

『Crises』は、Mike Oldfieldの作曲家としての精密さと、1980年代初頭らしい聴きやすさが交差するアルバムだ。『Tubular Bells』で示した多層的な構築性を引き継ぎながら、同時代の音楽環境に合わせて曲の輪郭を少し明確にした作品、と見ることができる。とくに「Moonlight Shadow」があることで、このアルバムは彼のディスコグラフィの中でも重要な位置を占めている。

トラックリスト

  • Other Side
  • A – Crises (20:40)
  • This Side
  • B1 – Moonlight Shadow (3:37)
  • B2 – In High Places (3:33)
  • B3 – Foreign Affair (3:53)
  • B4 – Taurus 3 (2:25)
  • B5 – Shadow On The Wall (3:08)

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2026.08.19
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