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The Nice – Autumn To Spring (1972)

The Nice『Autumn To Spring』について

The Niceは、Keith Emersonを中心にした英国のプログレッシブ・ロック・バンドで、クラシック曲の引用や編曲を取り入れた初期のアート・ロック・バンドとして知られている。『Autumn To Spring』は、その初期2作に収録された未発表テイクや別ミックスをまとめた編集盤で、1973年にアメリカでリリースされた。録音自体は1967年秋から1968年春にかけて、ロンドンのOlympic Studiosで行われている。

作品の位置づけ

内容は、バンドの初期像をたどるための資料性が強い。The Niceは、後のEmerson, Lake & PalmerにつながるKeith Emersonの鍵盤スタイルが形になっていく段階のバンドで、ここではその過程をアルバム2枚分の素材から確認できる。正式なアルバム本編というより、初期録音の別ヴァージョンや未発表音源を集めた一枚という性格がはっきりしている。

バンドの初期メンバーは、Keith Emerson、Brian Davison、David O’List、Lee Jackson、Ian Hague。もともとP.P. Arnoldのバック・バンドとして始まり、その後に独立した経緯がある。途中でドラマーがBrian “Blinky” Davisonに交代し、3人体制になってからは、ジャズやクラシックの要素をより前面に出した演奏へ進んだ。

収録内容と聴きどころ

この盤には、1stと2ndアルバム周辺の録音を中心に、既発素材と未発表テイクが収められている。マスターノートによると、B1のみが未発表音源で、ほかは以前に発表された素材。A2はバック・カバーでは「Flower King Of Flies」、レーベル表記では「Flower King Of The Flies」となっている。

聴きどころとしては、Emersonのオルガンが前面に出る初期The Niceの輪郭がそのまま残っている点。クラシック由来のフレーズをロックのバンド編成で押し出す作りは、この時期のThe Niceらしい特徴で、のちのプログレ勢、たとえばGenesisやYes、King Crimsonと並べて語られる文脈にもつながる。とはいえ、この作品では完成形の大作よりも、試行錯誤の途中にある演奏の断片が見えやすい。

同時代の文脈

1960年代後半の英国ロックでは、サイケデリック・ロックからプログレッシブ・ロックへ向かう流れが進んでいた。The Niceはその中でも、クラシック作品の引用や編曲を早い段階で打ち出したグループのひとつとして重要な存在。EmersonがMozart、Bach、Sibelius、Tchaikovskyを取り込んだ長尺のインストゥルメンタルで知られるようになる前段階が、この音源群にある。

また、The Niceは英国では評価を得た一方、アメリカでは大きな成功にはつながらなかった。1970年に解散後、EmersonはGreg Lake、Carl PalmerとともにEmerson, Lake & Palmerを結成し、より大きな成功を収めることになる。その意味で『Autumn To Spring』は、Emersonの初期活動を追ううえでの補助線のような一枚でもある。

パッケージ面の特徴

このUS盤は1973年リリースで、カバーの葉の部分にプレスされたレリーフがある。細部まで含めて、70年代前半の再編集盤らしい作りになっている。収録音源そのものは1967〜1968年録音なので、盤の発売年と内容の時期は分けて見ておくと分かりやすい。

補足

The Niceの代表曲としては、「America」や「Ars Longa Vita Brevis」期の演奏がよく挙げられる。『Autumn To Spring』はヒット曲を並べた作品ではなく、初期録音の別テイクや別ミックスを通して、バンドの出発点を確認するための編集盤という性格が強い。

トラックリスト

  • A1 – The Thoughts Of Emerlist Davjack (4:12)
  • A2 – Flower King Of The Flies (3:35)
  • A3 – Bonnie K (3:20)
  • A4 – America (6:03)
  • B1 – Diamond Hard Blue Apples Of The Moon (3:00)
  • B2 – Dawn (5:15)
  • B3 – Tantalizin’ Maggie (4:19)
  • B4 – Cry Of Eugene (4:30)
  • B5 – Daddy, Where Did I Come From (2:45)

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2026.10.17
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