Clannad – Dúlamán (1976)
Clannad『Dúlamán』について
『Dúlamán』は、アイルランド出身のファミリー・グループ、Clannadが1976年に発表した作品。伝承曲を中心にまとめたアルバムで、クレジット上はすべての曲がトラディショナル、Ciarán O Braonáinによるアレンジとして記されている。録音はRockfield Studiosで行われ、リリースはドイツ盤として出ている。
Clannadは、70年代前半のフォーク/フォーク・ロックの文脈から出発したグループで、後年はシンセサイザーや電子的な制作を取り入れた作品でも知られる。この『Dúlamán』は、そうした変化の前段階にある、アコースティックな編成とアイルランド伝承曲の結びつきがはっきりした時期の1枚として位置づけられる。
作品の内容と流れ
アルバムでは、ケルト系の民謡や伝承歌を、家族グループならではの声の重なりで聴かせる構成。Maire Brennanのヴォーカルを軸に、兄妹・親族のハーモニーが前に出る作りで、歌の旋律そのものを丁寧に聴かせるタイプのアルバムだ。派手な演出よりも、曲の持つ由来や言葉の輪郭が残ることに重きが置かれている印象がある。
ゲートフォールド仕様で、内側には各曲の説明が載っているのも特徴。トラディショナル曲を扱う作品らしく、曲ごとの背景を確認しながら聴ける作りになっている。
タイトル曲「Dúlamán」
タイトル曲「Dúlamán」は、このアルバムを代表する1曲として知られる。アイルランド語の伝承歌で、海藻採りを題材にした民謡として語られることが多い。Clannadの手にかかると、素朴な題材の歌が、声の配置とリズムの運びによってしっかり前に出る。後年の彼らの静かな叙情とは少し違い、この時期ならではの、民謡の輪郭が見えやすい演奏。
Clannadの中での位置づけ
Clannadの初期を知るうえで、かなり重要なアルバムといえる。のちの作品で聴ける幻想性や電子的な処理はまだ前面には出ておらず、まずは伝承曲をどう現代の録音物として成立させるかに焦点がある。家族グループとしての一体感、アイルランド語の響き、フォーク・ロックの枠内での整理された演奏、その3点がきれいにまとまった時期の記録。
Clannadは、のちに『Theme From Harry’s Game』で広く知られ、Maire Brennanの歌声も大きく注目されるが、この1976年作では、そうした後年のイメージよりも、民謡の継承者としての姿がはっきりしている。
同時代の文脈
1970年代のアイリッシュ・フォークには、PlanxtyやThe Bothy Bandのように伝承曲を現代的に鳴らす動きがあり、Clannadもその流れの中に置ける。もっとも、Clannadはバンド編成の勢いよりも、声のまとまりと整ったアレンジに特徴がある。フォーク・ロックとしての枠組みの中で、伝承歌を端正にまとめた作品という見方がしやすい。
盤としての情報
- オリジナルリリース年: 1976年
- リリース国: Germany
- レーベル表記: INTERCORD TON GMBH
- 録音: Rockfield Studios
- 仕様: ゲートフォールド・スリーヴ、内側に曲解説
- クレジット: 全曲トラディショナル、Ciarán O Braonáin編曲
1976年という時点でのClannadの姿を、そのまま押さえた作品。アイルランドの伝承曲を、家族グループの声で丁寧に束ねたアルバムとして見えてくる。
トラックリスト
- A1 – Dúlamán (Seaweed) (4:30)
- A2 – Cumha Eoghain Rua Uí Neill (Lament For Owen Roe) (4:03)
- A3 – Two Sisters (4:07)
- A4 – Éirigh Suas A Stóirín (Rise Up My Love) (5:03)
- A5 – The Galtee Hunt (3:03)
- B1 – Éirigh Is Cuir Ort Do Chuid Éadaigh (Arise And Dress Yourself) (4:05)
- B2 – Siúil A Rún (Irish Love Song) (5:43)
- B3 – Mo Mháire (2:38)
- B4 – DTigeas A Damhsa (Children’s Dance Song) (1:20)
- B5 – Cucanandy/The Jug Of Brown Ale (3:08)