Cosmic Ray – Living Today Phase One (1980)
Cosmic Ray『Living Today Phase One』について
Cosmic Rayはカナダ出身のRay Scottによるプロジェクトで、1980年に『Living Today Phase One』を発表している。クレジット上はRay Scottが中心に立つ形で、作品全体もその個人性が前に出るタイプのレコードに見える。ジャンル表記はRock、スタイルはProg RockとSpace Rock。70年代末から80年代初頭にかけての、シンセや広がりのある音像を取り込んだロックの流れの中に置いて聴かれる作品だろう。
作品の輪郭
タイトルに「Phase One」とある通り、ひとつの区切りを意識した作りであることがうかがえる。1980年という年は、プログレッシブ・ロックが大きな商業的ピークを過ぎたあとでもあり、その一方でスペース・ロックや電子的な響きを含む作品が別の形で生き残っていた時期でもある。このレコードも、そうした時代の空気の中で鳴らされていると考えやすい。
Cosmic Rayという名義からもわかるように、宇宙的なイメージや拡張感を意識したプロジェクトとして受け取れる。派手なヒット曲で押すというより、曲の構成や音の流れを重視するタイプのアルバム像が浮かぶ。Ray Scottのソロ的な色合いが強いぶん、バンド作品というよりも、ひとりの作家が描く世界観の記録という印象に近い。
同時代の文脈
1970年代のプログレッシブ・ロックを土台にしつつ、80年代の入口でスペース・ロックの感触を残している点が興味深い。イギリスや北米のプログレ勢と比べると、よりローカルで私的な作り込みがありそうな立ち位置だ。カナダのロック史の中でも、メジャー級の大きな成功を狙うというより、独自の世界観を押し出した作品として受け止められるだろう。
この時期の近い文脈で言えば、長尺の展開や演奏の構築感を持つロック、あるいはコズミックな音像を志向した作品群と並べて語られやすい。とはいえ、本作はそうした大きな潮流の中でも、かなり個人名義に近い手触りを持つ一枚として見るのが自然だ。
聴きどころの見方
実際に聴くときは、曲そのもののメロディだけでなく、音の重ね方や展開の作りに注目したい作品だと思う。スペース・ロック寄りの作品では、リフの反復、シンセの持続、ギターの伸び方などが曲の印象を決めることが多い。本作もそのあたりの構成が、アルバムの空気を支えているはずだ。
代表曲や広く知られたヒット曲については、この作品に関して特に定番として語られる曲は見当たらない。なので、アルバム単位で流れを追う聴き方が似合うタイプと考えやすい。
まとめ
『Living Today Phase One』は、1980年のカナダから出たCosmic Ray名義のロック作品で、Ray Scottの個性が前面に出た一枚として整理できる。プログレッシブ・ロックとスペース・ロックの要素を持ちながら、時代の変わり目にあるロックの空気を映した記録でもある。大きな商業作というより、作り手の視点がそのまま残ったアルバムとして見ると、作品の輪郭がつかみやすい。
公式サイトは http://www.cosmicraymusic.com。
トラックリスト
- A1 – In Harmony
- A2 – We’re All The Same
- A3 – Let’s Get It Right
- A4 – Hungry People
- B1 – Space In Time
- B2 – Fire In The Sky
- B3 – Living Today