Twink – Think Pink (1970)

Twink『Think Pink』について

Twinkは、英国のドラマー/ソングライター/シンガー、John Charles Edward Alderの名で知られる人物である。The Fairies、The Pretty Things、Tomorrow、Pink Fairiesといった60〜70年代英国アンダーグラウンドの重要バンドを渡り歩いた人で、その活動の流れの中で1970年に発表されたのが『Think Pink』だ。タイトルの段階からして、いかにも当時のロンドン・アンダーグラウンドらしい手触りがある作品で、British psychedeliaの文脈で語られることが多い。

この盤は2020年の50周年リマスター盤で、オリジナルの1970年作を現在の形で聴ける再発盤にあたる。レコードとしてはカナダ盤で、収録内容はオリジナル・アルバムを軸にしながら、リマスターで音の輪郭を整えた形と見てよさそうだ。

作品の位置づけ

『Think Pink』は、Twinkのキャリアの中でも大きな節目にあたる1枚である。ドラマーとしての活動が先行していた人物が、自身の名義で色を出したアルバムとしても重要で、単なる伴奏者ではなく、当時のサイケデリック・ロックの空気を自分の作品としてまとめた印象が強い。

背景には、Ladbroke Grove周辺のアンダーグラウンド・シーン、そしてHawkwind周辺の人脈がある。制作面では友人のMick Farrenが関わり、Paul RudolphやSteve Peregrin Tookらが参加している。特にSteve Peregrin Tookは、T. Rexの初期を知る人にはおなじみの名前で、こうした人脈だけでも当時の英国ロックの交差点にある作品だと分かる。

サウンドの印象

実際に聴くと、派手なロック・バンドの完成形というより、セッション感や実験性が前に出る作りである。曲ごとに演奏の温度が変わり、直線的に盛り上がるというより、音の配置やリフの反復、声の置き方で引っ張る場面が多い。ドラマーの作品らしく、リズムの立ち上がりがはっきりしている一方で、曲の展開はきっちり整えすぎず、ラフさも残している。

プロト・パンクの荒さと、サイケデリック・ロックの浮遊感、その中間にあるような手触りもある。Pink FairiesやTomorrow、さらには同時代のHawkwind周辺を思わせる部分はあるが、Twink自身の音としてまとまっているのが面白いところだ。

同時代との関係

1970年という年は、英国ロックが60年代的なサイケデリアから次の段階へ移る時期で、重さを増すハードロックや、より長尺で実験的なプログレッシブ・ロックも強くなっていった。その中で『Think Pink』は、そうした大きな流れに飲み込まれながらも、地下シーンの感覚を保っている作品として聴ける。

比較の軸としては、The Pink Fairies、Tomorrow、初期のHawkwindあたりが浮かぶ。いずれも大きく売れた主流ロックとは別の場所で、自由度の高い演奏や反商業的な空気を持っていたバンドだ。『Think Pink』もその延長線上にあるが、Twink個人の名前が前に出るぶん、より私的な記録としての性格も感じさせる。

曲について

この作品はアルバム全体で流れを聴くタイプの内容で、特定の大ヒット曲で知られる盤ではない。とはいえ、タイトル曲「Think Pink」を中心に、アルバムの輪郭を覚えやすい構成になっている。曲名の並びや演奏の切り替わりからも、当時のサイケデリック・ロックらしい自由な組み立てが見て取れる。

2020年リマスター盤として

2020年の50周年リマスター盤は、オリジナル盤の時代性を保ちながら、音の見通しを整えた再発として位置づけられる。盤面表記やインサートの扱いなど、細部は再発盤らしい仕様になっている。オリジナルの空気をそのまま封じ込めたというより、現在の再生環境で聴きやすくした版、と見るのが自然だろう。

まとめ

『Think Pink』は、Twinkという人物が英国アンダーグラウンドの中心付近で積み上げてきた経験を、1970年時点でひとつの作品にしたアルバムである。ドラマー主導の作品でありながら、演奏の荒さ、サイケデリックな広がり、仲間たちの気配が同居している。英国サイケ、Ladbroke Grove周辺、Pink FairiesやHawkwindの流れに関心があると、作品の輪郭がつかみやすい1枚だ。

トラックリスト

  • A1 – The Coming Of The One (5:30)
  • A2 – Ten Thousand Words In A Cardboard Box (4:30)
  • A3 – Dawn Of Magic (1:44)
  • A4 – Tiptoe On The Highest Hill (5:19)
  • A5 – Fluid (4:08)
  • B1 – Mexican Grass War (5:30)
  • B2 – Rock And Roll The Joint (2:32)
  • B3 – Suicide (4:26)
  • B4 – Three Little Piggies (3:15)
  • B5 – The Sparrow Is A Sign (2:24)

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2026.06.20