Orange Juice – In A Nutshell (1985)
Orange Juice『In A Nutshell』について
Orange Juiceの『In A Nutshell』は、1985年にUKで出た作品。スコットランド、グラスゴー周辺のポストパンク/インディー・ロックの流れから出てきたバンドの、80年代中盤の姿をそのまま切り取ったような一枚だ。中心人物のEdwyn Collinsを軸に、Zeke Manyika、Malcolm Ross、David McClymont、Steven Daly、Clare Kenny、James Kirk、Johnny Brittonらが関わっている。
バンドの流れの中で見る位置
Orange Juiceは、1970年代後半にBearsden, Glasgowで始まり、1979年にOrange Juiceへ改名したバンド。Alan HorneのPostcard Recordsと結びつき、最初期の「Falling and Laughing」がレーベルの最初のリリースだったことでも知られている。そうした初期のインディー・シーンの印象が強いバンドだが、『In A Nutshell』はその後の活動を経た時期の作品で、初期の勢いだけではない、より整ったバンド像が見えやすい時期の記録といえる。
1985年という年を考えると、UKのインディー・ロックはすでにPostcard系の軽快さや、ギター主体のポップ感覚を土台にしつつ、より広いレンジへ向かっていた時期でもある。Orange Juiceもその文脈の中で、同時代のThe SmithsやAztec Cameraと並べて語られやすい存在だ。
作品の聴こえ方
この時期のOrange Juiceは、いわゆる荒いパンクの手触りよりも、ギターのリフやリズムの運び、Edwyn Collinsの歌の置き方に耳が行くタイプのバンドだ。『In A Nutshell』も、その方向性が前に出る作品として受け取られやすい。演奏の隙間や、音の抜き差しがはっきりしていて、バンドの輪郭が見えやすい作りになっている。
聴きどころとしては、Edwyn Collinsのボーカルの語り口と、メロディの運び。派手に押し切るというより、言葉のリズムとギターのフレーズを噛み合わせて進む感触が強い。Orange Juiceらしい、ポストパンク由来の軽さと、ポップソングとしての明快さが同居している一枚、という見方ができる。
代表曲や知られた曲とのつながり
Orange Juiceを語るときは、「Rip It Up」や「Blue Boy」のような楽曲がしばしば挙がる。バンドの代表曲として知られるこれらの曲は、鋭いリズム感と、少しひねったポップの感覚を持っている。『In A Nutshell』も、そうしたOrange Juiceの核にある要素を追ううえで触れやすい作品だ。
ただし、この作品単体を“ヒット曲集”として見るより、バンドが80年代にどう鳴っていたかを示す記録として見るほうが自然だろう。初期のPostcard時代のラフさとはまた違う、バンド編成のまとまりが見える時期の一枚、という印象である。
同時代との比較
同じUKのインディー・ロックでも、Orange Juiceはメロディの明るさや、演奏の軽やかさが前に出やすい。The Smithsのような言葉の感触とは別の、もう少しリズム重視のポップ感覚があるし、Aztec Cameraのようなギター・ポップとの近さも感じやすい。とはいえ、Orange Juiceの持ち味は、そうした比較の中でも、Postcard Records由来のシンプルな立ち上がりと、少し肩の力が抜けた演奏のバランスにある。
まとめ
『In A Nutshell』は、Orange Juiceが初期のインディー・バンドから、80年代半ばのUKロックの中で独自の立ち位置を持つグループへと移っていく流れの中で捉えやすい作品だ。Edwyn Collinsを中心としたバンドの手つき、ポップとポストパンクの間を行く感覚、そして同時代のUKインディー・シーンとのつながりが見えやすい。Orange Juiceというバンドの輪郭を確認するうえで、ひとつの目印になるタイトルといえる。
トラックリスト
- A1 – Falling And Laughing
- A2 – Poor Old Soul (Live Version)
- A3 – L.O.V.E
- A4 – In A Nutshell
- A5 – Felicity
- A6 – I Can’t Help Myself
- A7 – Hokoyo
- B1 – Rip It Up
- B2 – Flesh Of My Flesh
- B3 – A Place In My Heart
- B4 – Bridge
- B5 – Out For The Count
- B6 – The Artisans
- B7 – What Presence?!