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The Boomtown Rats – In The Long Grass (1984)

The Boomtown Rats『In The Long Grass』

『In The Long Grass』は、アイルランド出身のロック・バンド、The Boomtown Ratsが1984年に発表したアルバムだ。Bob Geldofを中心に、Garry Roberts、Pete Briquette、Simon Crowe、Johnnie Fingers、Gerry Cottらを軸に活動してきたバンドの、80年代中盤の作品として位置づけられる一枚である。

バンドの流れの中での位置づけ

The Boomtown Ratsは1975年結成。初期には「The Rat Pack」的な感覚ではなく、鋭い言葉選びと都市的な感触を持つパブ・ロック以後のバンドとして注目を集めた。1978年の「Rat Trap」、1979年の「I Don’t Like Mondays」といったシングルで広く知られるようになり、アルバム単位でもポップさとロックの推進力を両立させてきた。

『In The Long Grass』は、そうした代表曲でイメージされる初期の勢いの延長線上にありつつ、80年代の音作りへ寄った時期の作品として聴ける。バンドの活動末期に近い時期のアルバムでもあり、後年の再結成以前の流れをたどる上でも重要な一枚だ。

日本盤について

今回の盤は1984年の日本盤で、レコードの記載には「Made In Japan.」とある。オリジナルも1984年なので、時代的には同年リリースの国内盤として流通したものと考えてよさそうだ。日本盤ならではの特徴としては、当時の国内流通用の製造である点がまず挙げられる。

曲と聴きどころ

この時期のThe Boomtown Ratsは、シングルで強く印象を残してきたバンドらしく、曲の立ち上がりやフックの作り方に耳が向きやすい。『I Don’t Like Mondays』のような明快な代表曲で知られるバンドではあるが、本作でもその「歌が先に立つ」感覚は継続している。

一方で、1984年という年代らしく、初期の荒さだけで押し切るのではなく、アレンジや音の整理が進んだ印象を受けやすい。ロックの輪郭を保ちながら、ポップな入口を残す作りで、同時代のUK/アイルランド勢の中でも、スローガン的な勢いだけではないタイプのバンドとして聴ける。

同時代の文脈

The Boomtown Ratsは、The Clashのような政治性の強いパンク/ポストパンク勢とも、単純なニューウェイヴとも少し距離がある。都市の空気感や言葉の切れ味は共通しつつ、演奏面ではよりストレートなロックの感触が残る。ポップ・ロック、インディー・ロックという整理も、そうした中間的な立ち位置を示している。

Bob Geldofの存在感が大きいバンドだが、作品としては彼の声だけで成立するわけではなく、リズム隊やキーボードを含めたバンド全体の推進力が軸になっている。The Boomtown Ratsという名前でイメージされる、語り口のあるロック・ソングの持ち味が、この時期までしっかり残っているアルバムだ。

まとめ

『In The Long Grass』は、The Boomtown Ratsの1984年作として、バンドの代表的な作風を80年代中盤の質感でまとめた作品といえる。初期のヒット曲で知られるバンドの、その後の流れを確認するうえでも見逃しにくい一枚だ。

トラックリスト

  • A1 – A Hold Of Me (4:55)
  • A2 – Drag Me Down (4:08)
  • A3 – Dave (4:30)
  • A4 – Over Again (3:44)
  • A5 – Another Sad Story (3:40)
  • B1 – Tonight (3:54)
  • B2 – Hard Times (3:55)
  • B3 – Lucky (3:37)
  • B4 – An Icicle In The Sun (4:07)
  • B5 – Up Or Down (3:30)

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2026.07.26
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