Fabrizio De André – Fabrizio De Andre’ (1981)
Fabrizio De André『Fabrizio De Andre’』について
イタリアのシンガーソングライター、Fabrizio De Andréが1981年に発表したアルバム『Fabrizio De Andre’』。通称では「L’Indiano」と呼ばれる作品で、フレデリック・レミントンの絵画「The Outlier」をジャケットに使ったことでも知られている。2010年には、Sony Italiaによるブルー・ヴァイナルの限定再発盤が出ている。
De Andréは、イタリアのカンタウトーレを代表する存在のひとりで、社会性のある視点、物語性の強い歌詞、民謡や地方の言葉を取り入れた作風で語られることが多い。この1981年作も、その流れの中にある1枚で、80年代以降の彼の活動を語るうえで外せない位置づけの作品。
作品の位置づけ
1981年は、De Andréがすでに長く第一線で活動していた時期。1960年代のデビューから、1968年の「La Canzone di Marinella」の成功を経て、イタリアの大衆音楽の中で確かな地位を築いていた。その後も、単なるヒットメーカーというより、歌詞の内容や視点そのものに重心を置く表現者として評価されていく。
この『Fabrizio De Andre’』は、そうした彼の作家性が成熟した時期のアルバムで、ポップ・ロックの形式の中に、語り口のある歌、社会や土地の記憶に触れる要素が入り込んでいる。80年代のイタリア音楽の文脈で見ると、より洗練されたアレンジや制作を採り入れながらも、De Andréらしい歌の中心はぶれない、という印象の作品。
ジャケットとタイトル「L’Indiano」
この作品は「L’Indiano」の名でも流通している。ジャケットに使われたのは、アメリカの画家フレデリック・レミントンによる1909年の絵画「The Outlier」。ブルックリン美術館所蔵の作品で、イメージ面でもアルバムの記憶に残る要素になっている。
イタリアのカンタウトーレ作品では、音だけでなく装丁や題材の選び方も重要になりやすいが、この盤もその例に入る。音楽とビジュアルの結びつきが強い1枚。
収録曲の特徴
このアルバムでは、「Ave Maria」が特に知られている。リリースノートにもある通り、この曲はサルデーニャの伝統的なイタリア民謡をもとにした再構成・翻案で、De Andréが地方の音楽素材を自分の言葉に置き換える姿勢がよく出ている。
彼は1980年代以降、ジェノヴァ方言やガッルーラ方言、ナポリ方言なども歌に取り入れていくが、その背景には、標準語だけでは拾いきれない土地の感情や生活の手触りを、歌の中に残そうとする意識があるように見える。このアルバムも、その延長線上の作品として聴ける。
オリジナル盤と2010年再発盤の違い
オリジナルは1981年のDischi Ricordi S.p.A.からのリリース。2010年盤はSony Italiaによる限定再発で、ブルー・ヴァイナル仕様、かつ番号入りステッカー付きの仕様になっている。コレクター向けの再発としての性格が強い盤。
表記面では、アーティスト名の綴りがジャケットの表、裏、スパイン、CDで異なる形になっている点も特徴。再発盤を手に取ると、オリジナル時代の作品が後年に色付き盤としてシリーズ化され、別のかたちで流通していることがわかる。
まとめ
『Fabrizio De Andre’』は、Fabrizio De Andréのディスコグラフィーの中でも、作家性と歌の親しみやすさが同居した1981年の作品。イタリアのカンタウトーレ文化、ポップ・ロック、民謡の再解釈という複数の要素が、彼らしい距離感でまとまっている1枚。
「Ave Maria」のような伝統曲の扱い、レミントンの絵画を使ったジャケット、そして後年のブルー・ヴァイナル再発まで含めて、作品そのものだけでなく、周辺の情報も印象に残るアルバム。
トラックリスト
- A1 – Quello Che Non Ho (5:48)
- A2 – Canto Del Servo Pastore (3:11)
- A3 – Fiume Sand Creek (5:16)
- A4 – Ave Maria (5:42)
- B1 – Hotel Supramonte (4:31)
- B2 – Franziska (5:28)
- B3 – Se Ti Tagliassero A Pezzetti (4:58)
- B4 – Verdi Pascoli (5:12)
関連動画
- Quello che non ho – Fabrizio De Andrè
- Fabrizio de Andrè – CANTO DEL SERVO PASTORE (Indiano)
- Fiume Sand Creek – Fabrizio De Andrè
- Fabrizio De Andrè – AVE MARIA (Indiano)
- Hotel Supramonte – Fabrizio De Andrè
- Fabrizio de Andrè – FRANZISKA (Indiano)
- Se ti tagliassero a pezzetti – Fabrizio De Andrè
- Fabrizio de Andrè – VERDI PASCOLI (Indiano)
- Quello che non ho
The Beach Boys – Shut Down Volume 2 (1964)
The Beach Boys『Shut Down Volume 2』について
The Beach Boysの『Shut Down Volume 2』は、1964年に発表された5作目のスタジオ・アルバムだ。アメリカ西海岸のサーフ・カルチャーと結びついた初期の代表作のひとつで、Brian Wilsonを中心にした緻密なコーラスと、車や海辺を題材にした楽曲が並ぶ一枚になっている。
この時期のThe Beach Boysは、サーフ・ロックのイメージを強く打ち出しながら、ポップ・グループとしての完成度も高めていた。The Beatlesや同時代のブリティッシュ・インヴェイジョン勢と並べて語られることも多いが、こちらはあくまでアメリカン・ポップの文脈で存在感を示した作品群のひとつだ。
作品の位置づけ
『Shut Down Volume 2』は、初期The Beach Boysの流れをつかむうえで重要なアルバムだ。デビュー後の勢いをそのまま持ち込みつつ、グループ独自のハーモニーやアレンジが少しずつ洗練されていく段階が見える。後年の実験的な作品に比べると、ここでは曲ごとの役割がはっきりしていて、当時のバンドの輪郭がつかみやすい。
代表曲と内容
収録曲の中では、「Fun, Fun, Fun」や「Don’t Worry Baby」といった曲がよく知られている。「Fun, Fun, Fun」はThe Beach Boysらしい車と若さのイメージを前面に出した曲で、イントロから推進力がある。「Don’t Worry Baby」は、同じアルバムの中でも少し温度の違う楽曲で、コーラスの重なりが印象に残る。どちらもグループの初期を代表する定番曲として扱われている。
全体としては、ロックンロールの勢い、サーフ・ミュージックの要素、そしてボーカル・ハーモニーが中心。演奏面ではシンプルに聞こえる部分もあるが、声の配置やフレーズのまとまりで曲を引っ張る作りになっている。
日本盤としてのリリース
ここで扱うのは1977年に日本で出た盤だ。オリジナルの1964年盤から時間を置いた再登場で、当時の日本のリイシュー盤として受け取られたものになる。オリジナル盤と比べると、時代を経た後の再発売という位置づけがはっきりしている。
録音年代の空気感は当然1960年代前半のままだが、1970年代の日本盤として手に取ると、The Beach Boysの初期像を改めて確認するような感覚がある。アルバム単位で追うと、のちの『Pet Sounds』以降の流れに至る前段階としても見えてくる一枚だ。
まとめ
『Shut Down Volume 2』は、The Beach Boysの初期を象徴するサーフ/カー・ソング集として機能しつつ、バンドのハーモニーの強さをよく示すアルバムだ。ヒット曲を含みながら、1964年当時のアメリカン・ポップの輪郭をそのまま残した内容になっている。
トラックリスト
- A1 – Fun, Fun, Fun
- A2 – Don’t Worry Baby
- A3 – In The Parkin’ Lot
- A4 – “Cassius” Love Vs. “Sonny” Wilson
- A5 – The Warmth Of The Sun
- A6 – This Car Of Mine
- B1 – Why Do Fools Fall In Love
- B2 – Pom Pom Play Girl
- B3 – Keep An Eye On Summer
- B4 – Shut Down, Part II
- B5 – Louie, Louie
- B6 – Denny’s Drums