Bill Withers – +’Justments (1974)
Bill Withers『+’Justments』について
Bill Withersの『+’Justments』は、1974年にリリースされたソウル作品である。1971年のデビュー作『Just As I Am』で注目を集めたWithersが、その後に発表したアルバムのひとつで、シンガー/ソングライターとしての持ち味をよりはっきり示した内容になっている。
作品の位置づけ
Bill Withersは、ロックやポップの文脈でも語られることのあるソウル・アーティストだが、基本にあるのは歌と曲そのものの強さである。遅いスタートからキャリアを切り開いた人物としても知られ、この時期の作品では、派手な演出よりも、言葉の運びやメロディの置き方に重心がある。『+’Justments』もその流れの中にある一枚といえる。
1970年代前半のUSソウルらしく、ファンクの要素を含みながらも、全体は過度に鋭くならず、歌の輪郭を残した作りになっている。リズムはしっかりしていて、音数は比較的整理され、声の温度が前に出るタイプの質感である。
サウンドの印象
このアルバムでは、Bill Withersの低めで落ち着いた歌声が中心にある。演奏はソウルを基調にしつつ、ファンク寄りのうねりも見せるが、あくまで曲を支える役割にとどまっている印象だ。ざらつきのあるグルーヴと、歌の説得力が並ぶ構成で、同時代のソウル・シーンの中でも、James Brown系の強いファンクとは少し異なる、より歌主体の方向にある。
同じ1970年代のソウル・シンガーでいえば、Curtis MayfieldやMarvin Gayeのように社会性や内省を含ませるタイプとも重なる部分があるが、Withersの場合は、日常の感情や人間関係を、比較的まっすぐな言葉で置いていくところに特徴がある。
代表曲としての存在感
Bill Withersの代表曲としては、『Ain’t No Sunshine』、『Lean on Me』、『Use Me』などがよく知られている。『+’Justments』は、それらの大ヒット曲で広く知られる以前から続く流れの中にあり、アーティストの表現が安定していく時期の作品として聴かれることが多いはずだ。
アルバム全体としては、曲ごとの個性を追うよりも、Withersの歌声とソウルの基本形をじっくり味わうタイプの内容である。1974年という時代のUSソウルの空気を映しながら、Bill Withersらしい抑制の効いた歌の存在感が残る一枚だ。
トラックリスト
- A1 You (5:18)
- A2 The Same Love That Made Me Laugh (3:23)
- A3 Stories (2:42)
- A4 Green Grass (3:08)
- A5 Ruby Lee (3:16)
- B1 Heartbreak Road (3:06)
- B2 Can We Pretend (3:47)
- B3 Liza (3:02)
- B4 Make A Smile For Me (3:14)
- B5 Railroad Man (6:24)