Jasun Martz – The Pillory (1978)
Jasun Martz『The Pillory』について
Jasun Martzは、US出身の画家・彫刻家・ミュージシャンとして知られる人物で、音楽ではオーケストラや合唱を用いた大編成の作品でも活動している。『The Pillory』は、1978年に制作された作品として位置づけられるアルバムで、電子音楽と現代音楽のあいだを行き来するような性格を持つ。盤としては1981年のリリース。録音、ミックス、マスタリングまでロサンゼルス周辺とロンドンで行われており、USの作家が国際的な制作環境を使って仕上げた作品という見え方になる。
制作クレジットと録音環境
レコーディングは California Recording Studios(Hollywood)、Riverside Recordings(London)、Neoteric Recording Studios(Los Angeles)で行われている。ミックスは California Recording Studios、マスタリングは Burbank の L.R.S.。さらに、作曲・スコア作成・リハーサルは、カリフォルニアの「The Village」やロサンゼルス、ニューヨーク、ロンドンの拠点で進められたと記されている。作品全体が、単独のスタジオ録音というより、複数都市をまたいだ制作体制の中で組み上げられたものだとわかる。
カバーには「The Pillory」のために特別に描かれたドローイングが使われている。視覚表現も含めて作家性を強く打ち出すタイプの作品と見てよさそうだ。
音楽性と聴きどころ
ジャンル表記は Electronic、Classical、スタイルは Modern Classical、Experimental。実際の内容も、ロック的な歌ものというより、構成と音色の変化を中心に聴かせるタイプの作品として捉えられる。Martz のほかの活動歴から見ても、合唱やオーケストラを扱う設計と親和性が高い。電子音の質感だけで押し切るのではなく、現代音楽寄りの書法やアンサンブルの重なりを含んだ作りが想像しやすい。
この時代のUSの実験音楽、現代音楽、電子音楽の周辺では、Morton Subotnick や Terry Riley、さらに欧州の電子音楽やコンテンポラリー・クラシカルの流れとも接点を持つ聴かれ方をしやすい。『The Pillory』も、そのあたりの文脈に置くと輪郭がつかみやすい作品だろう。とはいえ、単純なミニマル作品や純粋電子音楽に収まるわけではなく、編成の大きさや構成の意識が前面に出るあたりに特徴がある。
アーティストにとっての位置づけ
Jasun Martzは、視覚芸術と音楽の両方で活動してきたアーティストで、この作品もその多面的な作家性を示す一枚として見やすい。後年の合唱・オーケストラ系プロジェクトを含む活動を踏まえると、『The Pillory』は、電子音響とクラシカルな書法を結びつける方向性を早い段階で示した作品のひとつといえる。
まとめ
『The Pillory』は、1978年の制作を背景に持つ、Jasun Martz の初期代表作として押さえやすいアルバム。USのアーティストが、ロサンゼルスとロンドンを結ぶ制作環境の中で、電子音楽と現代音楽の接点を探った作品として整理できる。派手なヒット曲で知られるタイプではなく、作品全体の構成と音の配置で聴かせる一枚だ。
トラックリスト
- A – The Pillory (21:53)
- B – The Pillory (22:27)