FM – Surveillance (1979)
FM『Surveillance』について
『Surveillance』は、カナダ・トロントで結成されたプログレッシブ・ロック・バンド、FMが1979年に発表した作品です。1976年の結成以来、メンバーの変遷を重ねながら活動してきたグループで、初期のFMはスペースやSF的な題材を軸にした曲作りで知られています。後年のポップ寄りの時期とは異なり、この時期はバンド名義の個性が比較的はっきり出ている時代に当たります。
作品の位置づけ
1979年という時期は、FMにとって初期の段階です。のちに中心メンバーとなるカメロン・ホーキンスを軸に、ナッシュ・ザ・スラッシュ、ベン・ミンク、サイモン・ブリエリー、グレッグ・クリットリーらが参加した編成が見える作品で、FMの出発点に近いサウンドを確認できる一枚といえる内容です。バンドのプロフィールにある通り、FMはこの後もメンバーを入れ替えながら活動を続けていきますが、ここではまだ初期のプログレッシブ・ロック色が前面に出ている時期です。
内容とクレジット
このUS盤は印刷されたインナー・スリーブ付きで、Passport Recordsから1979年にリリースされています。プロデュースはJake Productions経由で行われており、収録曲はすべてVenerable Music管理の表記。A5のみB. Feldman and Co.のクレジットが入っています。こうした表記からも、当時の米国盤としてきちんとパッケージングされたリリースであることが分かります。
なお、タイトルが1979年に初出しているため、この盤はそのオリジナル時期の作品として扱えるものです。
サウンドの印象
FMは、カナダのバンドらしい整った演奏感と、プログレッシブ・ロック由来の構成の細かさを持つグループとして語られることが多いです。『Surveillance』もその流れの中にある作品で、同時代の英国プログレ勢と同じ文脈で見られることがありますが、ギター、シンセ、曲展開の作り方に、北米のバンドらしい直線的な感触も混じるタイプです。
この時期のFMを追うと、のちに代表的なラインになっていくよりも前の、より実験性のある時代を聴くことになります。ナッシュ・ザ・スラッシュの存在感や、カメロン・ホーキンスの作曲面での軸が見える時期としても興味深い位置にあります。
同時代との関係
1979年のプログレッシブ・ロックは、70年代前半の大作志向から少し距離を取りつつ、各バンドが独自の整理された構成や演奏性を探っていた時期です。FMもその流れの中で、カナダ国内のシーンに根を持ちながら活動していたバンドのひとつです。The Canadian Encyclopedia や ProgArchives でも扱われているように、カナダのプログレ史の中では外せない存在として位置づけられています。
まとめ
『Surveillance』は、FMの初期像を知るうえで重要な1979年のアルバムです。スペースやSFを背景にしたバンドの持ち味、メンバーの個性、そして当時のプログレッシブ・ロックの空気がまとまった一枚。後年のFMを知っていると、ここでの姿はまた違って見えてくるはずです。
トラックリスト
- A1 – Rocket Roll (3:29)
- A2 – Orion (1:33)
- A3 – Horizons (4:21)
- A4 – Random Harvest (4:36)
- A5 – Shape Of Things (3:07)
- B1 – Seventh Heaven (5:39)
- B2 – Father Time (4:23)
- B3 – Sofa Back (3:01)
- B4 – Destruction (6:00)