Panacea – Panacea (1980)
Panacea / Panacea(1980)
ドイツのロック・バンド、Panaceaが1980年に発表した同名アルバム。バンド名と作品名がそのまま一致する1枚で、クレジット上はドイツ制作、ドイツ発売のオリジナル盤となっている。プロフィールでは、当時のアメリカのいわゆる“pomp rock”勢、KansasやStyxに近い軽快なシンフォニック寄りロックとして紹介されるバンドだ。
バンドの輪郭
Panaceaのメンバーは、Mike Maier、Thommy Schuster、Ulrich Streber、Till Maurer、Kosmas Schütz、Tommy Müllerの6人編成。ギター、キーボード、コーラスを軸にした、70年代末から80年代初頭らしいバンド編成が見える。ドイツのプログレッシブ・ロック文脈の中では、重厚一辺倒ではなく、メロディを前に出した作りのグループとして位置づけられるようだ。
作品の立ち位置
1980年という時期は、プログレッシブ・ロックが70年代前半のような大きな勢いを失い、よりコンパクトな楽曲やポップ寄りの感触を取り入れる流れが強まっていた頃。Panaceaも、その空気の中で鳴っている作品として捉えやすい。シンフォニックな色合いを残しつつ、曲調は比較的軽やかで、同時代の“ポンプ”系バンドに通じる整理された響きがある。
サウンドの印象
実際の演奏面では、派手さを競うより、メロディの流れとアンサンブルのまとまりを見せるタイプのアルバムとして受け取られる。ギターとキーボードの掛け合い、コーラスの重なり、リズムの推進力が軸になりやすい構成で、KansasやStyxを引き合いに出されるのもそのあたりの感触によるものだろう。ドイツ産らしい整った演奏感と、英米勢に近い親しみやすさが同居する1枚という印象。
ジャケットとクレジット
裏ジャケットには、カバーデザインがGerald “Gerry” Wetzel(FFM)、カバーアートとロゴがMauser!、Art Centouri、アートワークが「Galactic Gas」、写真がJörg Cassel(Wsbdn.)と記されている。ビジュアル面でも、当時のロック作品らしい制作チームの分業が見える。盤面のランアウトはエッチング刻印となっている。
同時代とのつながり
この時期のドイツのロックは、より硬質で実験的な方向に進むものもあれば、メロディ重視で聴きやすさを保つものもあった。Panaceaは後者の流れに置きやすく、シンフォニック・ロックとポップ・ロックのあいだを行くような立ち位置にある。大仰な長尺組曲で押すというより、楽曲単位のまとまりで聴かせるタイプとして見てよさそうだ。
まとめ
Panaceaの『Panacea』は、1980年のドイツ産ロックとして、メロディの明快さとシンフォニックな装いを両立させた作品。KansasやStyxを思わせる比較がされるのも納得しやすい、整った演奏とバンド・アンサンブルの1枚だ。ドイツのプログレ周辺を掘るとき、当時の空気感をつかむうえで手がかりになりやすいアルバムといえる。
トラックリスト
- A1 – Better Be A Cageling
- A2 – Glad To Hear Your Voice
- A3 – I Wanna Be Like You
- A4 – Now I’m Sitting Here
- B1 – Tonight At Ten Past Ten
- B2 – Funky Girl
- B3 – You’re Living Easy
- B4 – Raving