• TOP
  • Rock
  • Traffic – John Barleycorn Must Die (1970)

Traffic – John Barleycorn Must Die (1970)

Traffic『John Barleycorn Must Die』について

Trafficの『John Barleycorn Must Die』は、1970年に発表されたアルバムで、Steve Winwood、Jim Capaldi、Chris Woodを中心にした再結成期の作品だ。英ロック・バンドとしてのTrafficは、サイケデリック・ロックの出発点から、鍵盤、管楽器、即興性を取り入れた音作りへと進んでいったが、この作品ではその流れがかなりはっきり出ている。フォーク・ロック、ブルース・ロック、ジャズ・ロック、プログレッシブ・ロックが自然に混ざった内容で、バンドの転換点にあるアルバムとして見られることが多い。

作品の位置づけ

Trafficはいったん1969年に解散し、その後1970年にこのアルバムで再始動した。つまり『John Barleycorn Must Die』は、バンドにとって再出発の1枚という性格が強い。前作までのポップ寄りの感触よりも、演奏の比重が上がり、曲ごとの展開も長めで、メンバーそれぞれのプレイを聴くアルバムになっている。

Steve Winwoodの歌と鍵盤、Chris Woodの管楽器、Jim Capaldiのドラミングが軸にあり、Trafficらしいアンサンブルの感触がよく出る。後のTrafficを考えるうえでも、このアルバムは重要な起点になっている。

タイトル曲とその背景

タイトル曲「John Barleycorn」は、イングランドの民謡として知られる古い題材をもとにしている。ノートにもある通り、Cecil Sharpeが20世紀初頭に収集した歌のひとつで、麦から作られる酒や収穫をめぐる寓意として語られることが多い。歌詞の解釈には幅があり、単純にひとつへ決めつけられるものではない。

Traffic版では、この伝承曲をロック・バンドの演奏に置き換えている。アコースティックな手触りと、バンドならではの間の取り方が合わさっていて、民謡由来の素材を70年代ロックの文脈に引き寄せた例としても興味深い。

サウンドの特徴

このアルバムでは、フォーク由来の曲調と、ブルース、ジャズ寄りの展開が同居している。派手なギミックで押すタイプではなく、楽器同士の受け渡しや、フレーズの間合いで聴かせる場面が多い。Steve Winwoodのボーカルは前に出すぎず、曲の流れの中で自然に収まっている。

Trafficは同時代のバンドの中でも、The Beatles由来のメロディ感を残しつつ、即興性や管楽器を取り入れた点で独自性がある。比較対象としては、より即興色の強いジャズ・ロック勢や、同時期に拡張したプログレッシブ・ロックの流れが思い浮かぶが、Trafficはそこにブルースの感触を残しているところが特徴だ。

代表曲について

この作品では、タイトル曲「John Barleycorn」が最も知られている。民謡を素材にした楽曲としての認知度が高く、Trafficの代表曲のひとつとして扱われることが多い。アルバム全体を見ても、この曲の存在感は大きく、作品の中心に置かれている。

また、アルバムは一曲だけが突出するというより、曲順全体で流れを作るタイプの作りだ。個々の楽曲よりも、アルバム単位で聴いたときに輪郭が見えやすい内容になっている。

1979年の日本盤について

今回の盤は1979年の日本盤で、Toshiba EMI製。青いIslandレーベルに「ROCK GREATEST 1500」の表記があり、帯には¥1500の価格表示がある仕様だ。オリジナルの1970年盤とは別に、日本で再発された盤としての位置づけになる。

日本盤ならではの要素としては、帯や価格表示、国内流通向けの体裁が挙げられる。内容面はもちろんアルバム本編が中心だが、当時の日本盤らしいパッケージの違いもコレクション上の見どころになる。

まとめ

『John Barleycorn Must Die』は、Trafficの再始動を告げるアルバムであり、民謡の再解釈、演奏重視の構成、ジャズやブルースを含む広いロック感覚がまとまった作品だ。1970年のオリジナル盤としても、1979年の日本盤としても、バンドの節目を示す1枚として位置づけられる。

Trafficの中でも、Steve Winwoodを中心にしたバンドの方向性がはっきり見える作品で、70年代初頭の英ロックの空気を知るうえでも押さえておきたいタイトルだ。

トラックリスト

  • A1 – Glad (6:58)
  • A2 – Freedom Rider (5:24)
  • A3 – Empty Pages (4:33)
  • B1 – Stranger To Himself (3:50)
  • B2 – John Barleycorn (6:20)
  • B3 – Every Mother’s Son (7:04)

関連動画

2026.09.18
この記事をシェア