Mike Oldfield – Tubular Bells = チューブラー・ベルズ (1973)
Mike Oldfield / Tubular Bells = チューブラー・ベルズ
マイク・オールドフィールドのTubular Bellsは、1973年に発表された初期代表作で、本人の名を広く知らしめたアルバムだ。マルチ楽器奏者としての手腕を前面に出した作品で、ロック、フォーク、クラシック寄りの要素をつなぎながら、長尺の組曲のように進んでいく構成になっている。
この日本盤は1974年のリリース。オリジナルの1973年盤から少し遅れて出たもので、黒地に紫と白の文字の帯、セミグロスのジャケット仕様、2ページのインサート付きという体裁だ。インサートには英日両表記の曲名と日本語ライナーが載っている。
作品の位置づけ
このアルバムは、マイク・オールドフィールドにとって出世作として知られている。ヴァージン・レコードの初期を決定づけた作品でもあり、のちのキャリアを語るときにも外せない一枚だ。本人のプロフィールでも、1973年のヒット作として特に挙げられている。
録音はThe Manorで、1972年秋から1973年春にかけて行われた。制作時期を考えると、当時の英国の実験的なロック作品や、長尺の演奏を軸にした作品群と同じ空気を持っている。ただ、ここではバンドの合奏というより、オールドフィールド自身の多重録音と構成力が中心に置かれている。
内容と聴きどころ
表題曲「Tubular Bells」は、この作品を象徴する長大な楽曲だ。マスターノートによれば、オールドフィールド本人はこの曲の着想について、バッハの「Fugue in Minor」の短い部分を逆向きに発想したものだと語っている。古典的なモチーフを下敷きにしつつ、それを別の形に組み替えていく作法が、この曲の骨格にある。
曲は一気に盛り上がるタイプではなく、楽器の音色やフレーズの積み重ねで場面が変わっていく。チューブラー・ベルの響きも、そのまま作品の印象を決める要素だ。オーケストラ的な厚みより、個々の音の配置と反復の組み立てが目立つ。
この盤からシングル化された曲もあり、アルバムの中でも表題曲の存在感は特に大きい。後年の再評価も含め、この一枚の顔としてまず挙がるのはやはり「Tubular Bells」になるだろう。
日本盤としての特徴
1974年盤の日本発売という点では、オリジナル盤との時間差がある。クレジットは℗&©1973 Virgin Records Ltd.となっており、作品そのものは1973年作として扱われる一方、こちらの盤は日本国内で流通した初期プレスの一つという位置づけだ。
付属インサートの表記に関しては、B面の曲長が23:00と誤記されているが、レーベル面では23:50と正しく記載されている。こうした細かな違いも、初期盤を見ていくときの面白いところだ。
同時代の文脈
1973年前後の英国ロックでは、長尺構成、変拍子、民族音楽やクラシックへの接近がいくつも見られる。マイク・オールドフィールドの作品もその流れにあるが、彼の場合はギターを中心にしながら、ひとりで複数のパートを積み上げていく点が際立っている。プログレッシブ・ロック周辺の作品と並べて語られることが多いのも、その構造のためだ。
また、後年の「Moonlight Shadow」や「In Dulci Jubilo」で知られるようになる以前から、すでに作曲家としての輪郭はこの時点でかなりはっきりしている。派手な歌ものではなく、作品全体の設計で聴かせるタイプの出発点として重要なアルバムだ。
まとめ
1973年のオリジナル発表、1974年の日本盤という流れで見ても、このレコードはマイク・オールドフィールドの代表作として扱われる一枚だ。多重録音、長尺構成、チューブラー・ベルの音色、そしてバッハ由来の発想。そうした要素が一つの作品にまとまっている。初期ヴァージンを象徴するタイトルとしても、記録性の高い盤だ。
トラックリスト
- A – Tubular Bells = チューブラー・ベルズ (25:00)
- B – Tubular Bells = チューブラー・ベルズ (23:50)