Bunalım – Bunalım (2006)
Bunalım『Bunalım』について
トルコのアンダーグラウンド・ロック史を語るうえで、Bunalımは外せない存在だ。1969年に結成され、1970年から1972年にかけて少数のシングルを残しただけのバンドだが、その短い活動歴の中で、70年代初頭のトルコ音楽シーンに強い印象を残したグループとして知られている。
この『Bunalım』は、彼らが残したシングル群をまとめた編集盤として位置づけられる作品で、オリジナルの楽曲は1970年から1972年にかけて発表されたもの。2012年盤としてリリースされ、スペイン盤で手に取れる形になっている。ブックレットではなく、片面印刷のライナーノーツとクレジット用のインサートが付属する仕様。
バンドの背景
Bunalımという名前はトルコ語で「抑うつ」「いらだち」といった意味を持つ。彼らはトルコのロック・ミュージシャンであり、アナトリアン・ロックの重要人物でもあるCem Karacaのもとで活動し、マネジメントとプロデュースを受けていた。Cem Karacaは70年代トルコ・ロックの中心人物の一人で、この時代の文脈を考えるうえでも重要な存在だ。
メンバーはCengiz Teoman、Nihat Örerel、Melik Yirmibir、Berç Yenal、Nur Yenal、Aydin Çakus、Rifat Öncel、Ahmet Güvenç、Hüseyin Sultanoğlu。バンドとしての統一感だけでなく、後年それぞれが別の活動へつながっていく点でも、トルコ・ロック史の中で意味を持つグループだといえる。
音の印象
収録曲は、ヘヴィな質感のサイケデリック・ロックを軸に、トルコ音楽の要素が差し込まれる作り。ギターの硬さ、リズムの押し出し、東洋的な旋律の扱いが同居していて、当時の西洋ロックの影響をそのままなぞるのではなく、ローカルな感覚を前に出したタイプの演奏だ。
シングルを集めた構成なので、アルバム単位で組まれた流れというより、曲ごとの輪郭がはっきりしている印象になりやすい。短く鋭い曲の連なりとして聴くと、Bunalımの持っていた粗い熱量が伝わりやすい編集だろう。
位置づけ
Bunalımは、完成されたアルバムを残さなかった一方で、トルコの70年代ロックの初期像を示すバンドとして重要視されている。ディスコグラフィーが少ないぶん、残されたシングルの価値が高く、後年のコンピレーションや再発盤でその存在が改めて確認されるタイプのグループだ。
同時代の文脈で見ると、Cem Karacaやアナトリアン・ロック周辺の流れとつながる位置にあり、欧米のサイケデリック・ロックやハード・ロックの影響を受けつつ、トルコ独自の旋律やリズム感を組み込んでいる点が特徴的だ。
代表曲について
この盤はシングル曲の集成であり、特定のヒット曲を中心にした作品というより、バンドの代表的な録音をまとめて聴ける内容だ。Bunalımの初期トルコ・ロックを知る入口としては、単発の楽曲よりも、こうした編集盤のほうが全体像をつかみやすい。
まとめ
『Bunalım』は、70年代トルコ・ロックの荒さと輪郭を、そのまま残したような編集盤だ。少数のシングルしか残さなかったバンドの記録として、またCem Karacaの周辺から生まれた重要グループのまとめとして、資料性の高い一枚になっている。
トラックリスト
- A1 – Başak Saçlım (2:58)
- A2 – Hele Hele Gel (2:44)
- A3 – Bunalim (3:32)
- A4 – Tas Var Köpek Yok (3:56)
- A5 – Yollar (2:48)
- A6 – Yeter Artik Kadin (3:23)
- B1 – Bir Dünya Da Bana Ver (3:48)
- B2 – Kinali Gelin (3:47)
- B3 – Bir Yar Için (2:41)
- B4 – Ask Senin Bildigin Gibi Degil (3:45)
- B5 – Ayrilik Olmasaydi (3:31)
- B6 – Güzel (2:56)