Corey Hart – First Offense = ファースト・オフェンス (1983)
Corey Hart『First Offense』について
カナダ出身のシンガーソングライター、Corey Hartの初期作にあたるアルバムが『First Offense』である。オリジナルは1983年の作品で、ここでの盤は1984年に日本で出たもの。のちに「Sunglasses at Night」で広く知られる前の時期の作品で、80年代前半のシンセ・ポップ、ニュー・ウェイヴ、ポップ・ロックの流れの中に置ける内容になっている。
作品の位置づけ
Corey Hartは、メロディを前に出したポップな書き方と、当時らしい電子音の使い方で知られるアーティストである。『First Offense』は、その後の代表曲につながる初期の輪郭を確認できる一枚という印象が強い。デビュー期のアルバムらしく、歌そのものの推し出しと、1980年代初頭の空気感が前面に出た作りである。
日本盤はタイトル表記が『ファースト・オフェンス』となっており、当時の洋楽紹介の文脈でも受け取りやすい形で出ている。1983年のオリジナル発表から間を置かず、1984年に国内流通した盤という位置づけになる。
サウンドと聴きどころ
この時期のCorey Hartは、後年の大ヒット曲で知られる印象よりも、より端正なポップ・ソングライターとしての側面が見えやすい。シンセの使い方は当時のニュー・ウェイヴ系作品に通じるものがありつつ、曲の芯にはロック寄りの推進力も残っている。電子音に寄せすぎず、歌を中心に置いたバランス感が特徴的である。
実際に聴くと、音像は80年代前半の作品らしく少し硬質で、ドラムやシンセの輪郭がはっきりしている。そこにCorey Hartのやや張りのある歌声が乗る形で、派手さよりも曲単位のフックで聴かせる場面が多い。のちの「Sunglasses at Night」のような強いアイコン性を持つ楽曲へ向かう前段階として、メロディ重視の作風が見える内容である。
同時代とのつながり
ジャンルの並びとしては、当時のシンセ・ポップやニュー・ウェイヴの流れにあり、ポップ・ロックの骨格を持つ点では、80年代初頭のラジオ向けロックとも近い。アーティスト像としては、同時代のカナダ勢や、メロディ重視の英米ポップ・ロックと並べて語られやすいタイプである。
ただし、ここでは実験性よりも曲の分かりやすさが前に出る。リズムや鍵盤の処理に80年代初頭の空気がありながら、歌の書き方は比較的ストレートで、アルバム全体としても聴き手を選びにくい設計に見える。
クレジットと日本盤情報
盤面のリリースノートには、Mavis Brodey、EMI America Records、Keith Brown、Aquarius Records、Deane Cameron、Donna、Robbie、Stephen、Aniへの謝辞が記されている。さらに、Erikaへの特別な謝辞もある。こうした記載からも、当時の制作・流通の周辺を支えた人々への意識がうかがえる。
日本盤としての『ファースト・オフェンス』は、1983年オリジナルの内容を1984年に国内で受け取る形の一枚である。80年代前半のポップ・ロックの空気、そしてCorey Hartの初期像を知るうえで、基本となるタイトルと言える。
トラックリスト
- A1 – Sunglasses At Night = サングラス・アット・ナイト
- A2 – Peruvian Lady = ペルビアン・レディー
- A3 – Lamp At Midnite = 真夜中の灯
- A4 – She Got The Radio = 孤独なレディオ・ガール
- A5 – It Ain’t Enough = イット・エイント・イナフ
- B1 – Does She Love You = ダズ・シー・ラブ・ユー
- B2 – Cheatin’ In School = チーティン・イン・スクール
- B3 – The World Is Fire = ザ・ワールド・イズ・ファイヤー
- B4 – At The Dance = アット・ザ・ダンス
- B5 – Jenny Fey = 愛しのジェニー・フェイ