My Brother The Wind – Once There Was A Time When Time And Space Were One (2014)
My Brother The Wind『Once There Was A Time When Time And Space Were One』について
My Brother The Windは、2009年にスウェーデンのヴェストラ・イェータランド地方、Åmålで結成されたサイケデリック/スペースロック・バンドである。中心にあるのは、長尺のインストゥルメンタルを軸にした演奏主体の音作りで、2014年の『Once There Was A Time When Time And Space Were One』も、その方向性をはっきり示す1枚になっている。
作品タイトルからして時間と空間の一体感を思わせるが、実際の音もそのイメージに沿ったもの。明確な歌ものというより、リフ、反復、展開、響きの重なりで進んでいくタイプの作品で、70年代由来のサイケデリック・ロックやスペースロックの流れを、現代の録音で捉えた内容といえる。
作品の位置づけ
2014年オリジナルの本作は、My Brother The Windの活動初期を代表するアルバムのひとつとして見られている。バンドは結成からまだ数年の段階で、すでに演奏力と即興性を前面に出した音像を固めていた時期にあたる。メンバーにはSamuel Hellberg、Daniel Fridlund Brandt、Nicklas Barker、Mathias Danielsson、Ronny Eriksson、Tomas Erikssonが名を連ねている。
Nicklas Barkerは、スウェーデンのプログレッシブ/サイケ文脈で知られる人物でもあり、この作品にもそうした周辺シーンとの接点が感じられる。とはいえ、ここで中心にあるのは個々の楽曲というより、バンド全体の演奏が生む流れそのものだ。
サウンドの特徴
このアルバムは、ギターの反復、リズムの持続、空間を広く使うエフェクト処理が印象に残る構成。派手な歌メロで引っ張るのではなく、演奏のうねりで引き込んでいく作りで、スペースロックらしい開放感と、サイケデリック・ロックらしい粘りが同居している。
同時代の北欧サイケや、より広い文脈では、Hawkwind系のスペースロック、あるいは長尺志向のジャム的なサイケデリック作品と並べて語られることが多いタイプの音である。とはいえ、My Brother The Windは単なる模倣ではなく、曲ごとの推進力と細かな展開で聴かせるバンドだ。
音源としての仕立て
2014年盤は、ラッカー盤のカットがThe Mastering Labで行われ、Doug Saxの弟子として知られるEric Boulangerが担当している。メッキはMastercraft、プレスはチェコ共和国のGZによるもの。オールドスクールなティップオン仕様のスリーブに収められ、世界500枚限定という案内がある。
こうした物理的な仕立ては、このバンドの音楽性とも相性がよい。音の広がりやロングトラックの持続感を、アナログ盤らしいまとまりで受け止める作りになっている。
聴きどころ
この作品でまず目に入るのは、いわゆる「代表曲」を前面に出すタイプではないこと。シングルヒットのような曲よりも、アルバム全体の流れで聴く性格が強い。したがって、特定の1曲を切り出すより、トラック間のテンポ感や音の密度の変化に耳を向けると、この作品の輪郭がつかみやすい。
実際に聴くと、音の重なりが前へ前へと進むだけでなく、ところどころで引いたり、空間を残したりする場面がある。そこで一気に「空」の側へ広がる感触が出るのが、このバンドらしいところだ。
まとめ
『Once There Was A Time When Time And Space Were One』は、My Brother The Windのサイケデリック/スペースロック志向を、2014年時点でしっかり示したアルバムである。北欧らしい端正さを持ちながら、演奏の推進力と空間感覚で引っ張る内容。限定プレスのアナログ盤という点も含め、作品としてのまとまりがはっきりした1枚になっている。
トラックリスト
- A1 – Prologue (1:04)
- A2 – Song Of Innocence Pt. 1 (7:35)
- A3 – Song Of Innocence Pt. 2 (4:04)
- A4 – Into The Cosmic Halo (6:40)
- A5 – Misty Mountainside (3:19)
- B1 – Garden Of Delights (11:59)
- B2 – Thomas Mera Gartz (2:14)
- B3 – Once There Was A Time When Time And Space Were One (3:18)
- B4 – Epilogue (4:19)