Venus In Furs – Real Moral Fibre (1986)
Venus In Furs『Real Moral Fibre』について
Venus In Fursは、イングランド・サセックスを拠点に始まったグループで、Timesを中心に展開してきたプロジェクト色の強いバンドだ。1986年の『Real Moral Fibre』は、その流れの中で出た作品で、UKのBacksから刊行された。レーベル表記や流通情報も含め、当時のインディー流通圏にある一枚という位置づけが見える。
アーティストのプロフィールを見ると、Venus In Fursは編成を変えながら活動しており、初期の4人編成期を経て、1984年以降はTimesとSkot Lucyのデュオ体制で動いていた。その後もTimesを軸に作品が続いていくので、『Real Moral Fibre』は、そうした流れの中で出た時期の記録として捉えやすい。
作品の輪郭
本作のクレジットには、メンバーとしてPeter Guellard、Times、Skot Lucyの名が並ぶ。ジャンル表記はElectronic、Rock、スタイルはNew Wave、Art Rock、Synth-pop、Indie Rock。実際の音像も、この時代のUKインディーらしい電子楽器の使い方と、ロック寄りの構成感が同居するタイプとして整理できる。
『Real Moral Fibre』というタイトル自体も、80年代半ばの英インディー/ニューウェイブ周辺らしい、やや硬質な響きを持つ。レーベルはBacks、出版はBacks/Chrysalis Music、配給はBacks/Cartel。カタログ番号はラベル面が「NCH LP12」、裏ジャケットと背表紙が「NCH LP 12 Deluxe」となっている。LPサイズのインレイシート付きという仕様も確認できる。
当時の文脈
1986年のUKでは、シンセや打ち込みを取り入れたインディー作品が珍しくない時期で、ニューウェイブ以後の電子化とギター・バンドの感覚が重なる場面が多かった。Venus In Fursもその中に置くと理解しやすい。単なるシンセポップというより、アート寄りの構成やロックの骨格を残しながら電子音を組み合わせる作りの作品群として見える。
同時代の比較対象を挙げるなら、UKインディーの中で電子音とバンド感を行き来していた諸作、あるいはニューウェイブ後半の実験的なロック作品群が近い文脈に入る。ただし、Venus In Fursは活動の仕方自体がかなり独自で、Timesを中心とする変則的な編成変化も特徴になっている。
バンドにとっての位置づけ
プロフィール上では、『Real Moral Fibre』は『Platonic Love』『Strip』の後、Times主体で進む流れの中にある作品として扱える。つまり、初期のバンド編成から、デュオ期、そしてTimesのソロ的な運用へと移っていく途中の記録という見方ができる。Venus In Furs全体の中では、活動の変化がそのまま作品にも反映された時期の一枚と言えそうだ。
まとめ
『Real Moral Fibre』は、1986年のUKインディー圏で生まれた、電子音とロックの要素を合わせたVenus In Fursの作品。Backsからのオリジナル盤で、インディー流通の空気をまとった仕様も含めて、当時の英国シーンの一断面を伝える一枚だ。
Venus In Fursの活動史を追ううえでは、編成の変化とTimes中心の制作体制がどう作品に出ているかを見る手がかりにもなる。
トラックリスト
- A1 – Love Lies (6:12)
- A2 – Your Lover Just Called … (1:36)
- A3 – Verve (2:19)
- A4 – Mishima’s Sepukko (7:10)
- B1 – New Terrorists (7:04)
- B2 – Wunderkind (2:31)
- B3 – The Hand That Squeezed The Heart (12:56)