Pure Reason Revolution – Coming Up To Consciousness (2024)
2000年代初頭のデビュー以来、ピンク・フロイド直系の壮大なるサイケデリアと、スマッシング・パンプキンズを思わせるオルタナティヴ・ロックの重厚なダイナミズム、そして重層的な男女混声コーラスを融合させてきた英国プログレッシヴ・ロックの旗手、ピュア・リーズン・レヴォリューション(Pure Reason Revolution)。2024年に名門InsideOut Musicよりリリースされた通算6作目のスタジオ・アルバム『Coming Up To Consciousness』は、バンド史上最も内省的でありながら、比類なき音響的洗練を極めた傑作として結実した。
喪失と別れを見つめる個人的悲歌:安楽死と意識の浮上を巡る旅
活動再開後の『Eupnea』(2020)、『Above Cirrus』(2022)に続く本作は、ソングライター/フロントマンのジョン・コートニー(Jon Courtney)が、17年間にわたり人生を共にした愛犬の看取りと安楽死という極私的な悲痛を真正面から見つめたコンセプト作である。死と別れ、残酷なまでの時間経過、そして悲哀の底から意識がゆっくりと覚醒していくプロセスの生々しい感情の揺らぎが、アルバム全体を貫くダークかつ崇高な物語を紡ぎ出す。
脱退したクロエ・アルパーに代わり、本作ではオランダのダーク・フォーク界で活躍するアニッケ・シリーン(Annicke Shireen)がヴォーカルとして全面参加。コートニーとグレッグ・ジョンによるメロディに寄り添う彼女の透明感あふれる歌声は、初期からのトレードマークである緻密なポリフォニック・ハーモニーを新たな次元へと昇華させている。
ピンク・フロイドの重鎮ガイ・プラットと、ブルース・スードの音響美学
本作のサウンドを語る上で欠かせないのが、豪華な布陣による職人芸的なバックアップだ。ベースには、ピンク・フロイドやデヴィッド・ギルモアのツアー・メンバーとして名高い伝説的ベーシスト、ガイ・プラット(Guy Pratt)が参加(「Worship」を除く7曲を担当)。復帰したラヴィ・ケサヴァラムの推進力あるドラムスと相まって、極上のグルーヴとふくよかなローエンドを提供している。
さらに、現代プログレッシヴ・ロック界きっての名匠、ザ・パイナップル・シーフ(The Pineapple Thief)のブルース・スード(Bruce Soord)がアルバムのミックスを担当し、ギターでも客演。スティーヴ・キッチによるマスタリングと相まって、繊細なアコースティックのアルペジオから爆発的なディストーション・ギター、幽玄なシンセ・テクスチャーに至るまで、驚異的な空間解像度とダイナミクスが実現されている。
ヘヴィネスと静謐の美しき共存:現代プログ・ロックの到達点
緊張感に満ちたオープニング「Dig Till You Die」から、美しくも不穏なメロディが疾走する「Betrayal」、張り詰めたピアノと重厚なリフが交錯する「The Gallows」、そしてエモーショナルな終焉を描く「As We Disappear」に至るまで、アルバムは途切れることのない劇的なテンションを保ち続ける。現代のポスト・プログレッシヴ・シーンにおいて、感情の深淵と音響工芸の極致がこれほど完璧に調和した作品は稀有である。
トラックリスト
- A1 - Dig Till You Die (5:08)
- A2 - Betrayal (4:28)
- A3 - The Gallows (4:35)
- A4 - Useless Animal (4:17)
- B5 - Worship (5:13)
- B6 - Bend The Earth (6:36)
- B7 - Lifeless Creature (6:47)
- B8 - As We Disappear (4:49)