Daryl Hall & John Oates – X-Static (1979)
Daryl Hall & John Oates『X-Static』(1979)
Daryl Hall & John Oatesは、1967年から活動を続けるアメリカのポップ・ロック・デュオだ。1970年代後半には、ソウルやポップスの要素に加えて、当時の新しい音の感触も取り入れながら、アルバムごとに少しずつ表情を変えていく。
『X-Static』は1979年に発表された作品で、電子的な質感を前面に出した時期の一枚として位置づけられる。ジャンル表記はElectronic、スタイルはSynth-pop。Hall & Oatesの中でも、いわゆるヒット曲主体のイメージだけでは見えにくい、時代の空気に寄ったサウンドがまとまっている。
作品の輪郭
このアルバムでは、Daryl Hallの歌とJohn Oatesのギター/コーラスの組み合わせを軸にしながら、シンセサイザーの比重が比較的はっきりしている。1979年という時期を考えると、ロック・バンド的な演奏感よりも、鍵盤や機械的なリズムの存在感が先に立つ作りと受け取れる。
レコードのクレジットには、©1979 RCA Records、Manufactured by RVC Corporation, Tokyo, Japan とある。日本盤として流通した一枚で、盤自体は強い光にかざすと半透明に見える translucent vinyl 仕様だ。
Hall & Oatesの中での位置づけ
Hall & Oatesはこの後、1980年代に入ると『Voices』や『Private Eyes』、『H2O』などで大きくヒットを重ねていく。その流れの手前にある『X-Static』は、後年の成功作ほど広く知られるタイプではないが、デュオがポップ・ソングの作り方を更新していく途中の記録として見やすい。
同時代の文脈では、ソウル寄りのポップ・ロックからシンセを使った新しいポップへ移っていく動きの中に置ける。完全にニューウェイヴへ寄るというより、既存のメロディ志向を保ちながら、音の表面を時代に合わせていく感触がある。
聴きどころ
実際の音像としては、歌の輪郭を中心にしつつ、シンセのレイヤーが曲の空間を作るタイプのアルバムといえる。派手なギター・ロックの押し出しより、リズムと音色の配置で聴かせる場面が目立つ。
代表曲としては、アルバムからシングルとして知られる「Wait for Me」が挙げられることが多い。メロディの分かりやすさと、当時らしいシンセの使い方が同居していて、作品全体の方向性をつかみやすい一曲だ。
まとめ
『X-Static』は、Hall & Oatesのディスコグラフィの中で、1970年代末の電子的なポップ感覚を映した一枚。大きなヒット作として語られることは多くないが、デュオの変化の途中をそのまま記録したアルバムとして見ると、なかなか輪郭のはっきりした作品だ。
日本盤の半透明ビニールも含め、1979年当時のRCA周辺のパッケージ感を持ったレコードとして手元で眺める面白さもある。
トラックリスト
- A1 – The Woman Comes And Goes (3:48)
- A2 – Wait For Me (4:06)
- A3 – Portable Radio (4:44)
- A4 – All You Want Is Heaven (4:00)
- A5 – Who Said The World Was Fair (4:08)
- B1 – Running From Paradise (6:35)
- B2 – Number One (3:43)
- B3 – Bebop / Drop (3:56)
- B4 – Hallofon (1:17)
- B5 – Intravino (3:33)