A Flock Of Seagulls – A Flock Of Seagulls (1982)
A Flock Of Seagulls『A Flock Of Seagulls』について
A Flock Of Seagullsのデビュー・アルバム『A Flock Of Seagulls』は、1982年に発表された1枚で、ニューウェーブとシンセポップの流れの中でもよく知られた作品だ。バンドはイギリス・リバプールでマイク・スコアと弟のアリ・スコアを中心に始まり、80年代前半の空気を強くまとったサウンドで存在感を示した。
このアルバムはバンドにとって最初の長編作品であり、後の代表曲をまとめて確認できる初期の基盤でもある。US盤では「Tokyo」が外れている構成で、収録内容に地域差がある点もこの時代のレコードらしいところだ。
作品の位置づけ
本作は、A Flock Of Seagullsの名前を広く知らしめた出発点として扱われることが多い。アルバムからは複数のシングルが切られており、発売順としては「Telecommunication」「Modern Love Is Automatic」「I Ran」「Space Age Love Song」が並ぶ。
特に「I Ran」は、このバンドを語るうえで外しにくい代表曲だ。シンセの輪郭がはっきりしたイントロと、ギターの細いフレーズが前面に出る作りで、ニューウェーブの中でも識別しやすい楽曲になっている。「Space Age Love Song」も含め、アルバム全体の印象を決める中心曲として機能している。
サウンドの印象
この時期のA Flock Of Seagullsは、シンセサイザーを土台にしながら、ポール・レイノルズのギターが音の輪郭を作る形が特徴的だ。ベースとドラムは直線的に進み、ボーカルはマイク・スコアの高めで乾いた響きが前に出る。音数は多くないが、各パートの配置がはっきりしていて、80年代初頭のスタジオ録音らしい整理された質感がある。
同時代のニューウェーブやシンセポップの文脈で見ると、デュラン・デュランやトンプソン・ツインズのようなポップ性の強い流れと並べて語られることがある一方で、A Flock Of Seagullsはギターの処理や空間の使い方に独特の癖がある。派手さよりも、音の配置と反復で覚えさせるタイプの作りだ。
収録曲とシングル
オリジナル盤は1982年4月9日発売。UKアルバムチャートには4月17日に入っており、最高32位を記録している。シングルは以下の4曲。
- 「Telecommunication」
- 「Modern Love Is Automatic」
- 「I Ran」
- 「Space Age Love Song」
とくに「Modern Love Is Automatic」は、12インチ・シングル版で別構成の収録があったことでも知られる。こうした形で当時のクラブ向けフォーマットや拡張ミックスの文化と接続していた点も、この時代の作品らしい。
US盤としての特徴
今回のUS盤は、Aristaからの流通で、Hauppauge Record Manufacturing Ltd.によるプレスが示されている。表記上は1982年の盤で、オリジナル発売年と同じ時期のリリースにあたる。US/Canada盤では「Tokyo」が省かれているため、曲順と収録内容に違いがある。
クレジット面では、全曲がZomba Enterprises, Inc.(BMI)出版、℗表記は曲ごとに1981年と1982年が混在している。制作の積み重なりがそのまま残っている形だ。
アーティストとしての意味合い
A Flock Of Seagullsは、1979年にリバプールで始まったグループで、1980年代前半に活動の核がある。オリジナル編成はマイク・スコア、ポール・レイノルズ、アリ・スコア、フランク・モーズリー。のちに再結成や別編成での活動もあるが、このデビュー作はやはりオリジナル期の輪郭を最もはっきり伝える。
2018年にはオリジナル・ラインナップでオーケストラ作品『Ascension』を制作し、2021年にも『String Theory』を制作しているが、そうした後年の動きと比べると、本作はバンドの原型が最もストレートに出ている時期の記録といえる。
まとめ
『A Flock Of Seagulls』は、1982年のニューウェーブ/シンセポップの空気をそのまま掴めるデビュー・アルバムだ。代表曲「I Ran」を中心に、シンセとギターの役割分担が明確で、曲ごとの輪郭もはっきりしている。US盤では「Tokyo」が省かれているため、聴き比べると構成差も確認できる1枚になっている。
トラックリスト
- A1 – I Ran (3:58)
- A2 – Space Age Love Song (3:46)
- A3 – You Can Run (4:28)
- A4 – Don’t Ask Me (2:46)
- A5 – Messages (2:51)
- B1 – Telecommunication (2:31)
- B2 – Modern Love Is Automatic (3:49)
- B3 – Standing In The Doorway (4:41)
- B4 – D.N.A. (2:30)
- B5 – Man Made (5:38)