Rupert Hine – Waving Not Drowning (1982)
Rupert Hine / Waving Not Drowning(1982)
Rupert Hineは、英国内で長く活動したシンガー、ソングライター、キーボード奏者、プロデューサーだ。1960年代半ばから自分名義でもバンドでも録音を重ねていて、このWaving Not Drowningは1982年にUKで出たアルバムになる。電子音を前面に出した作りで、ジャンル表記としてはElectronic、スタイルとしてはSynth-popに置かれている。
作品の位置づけ
Rupert Hineのキャリアの中では、作曲と制作の感覚がかなり前に出た時期の一枚として見える。本人はアーティスト活動だけでなくプロデューサーとしても知られていて、歌とキーボード、スタジオワークが自然につながっている人だ。このアルバムも、その持ち味がそのまま表れた作品という印象になる。
1982年UKの空気感
1982年という年は、UKのポップスでシンセサイザーが広く浸透していた時期だ。Rupert Hineの音作りも、その流れの中にある。硬質な打ち込み感と、メロディを前に出す歌もののバランスがこの時代らしい。周辺の文脈でいえば、同時代の英国シンセポップに通じる耳ざわりがありつつ、プロデューサー気質の整理された響きが特徴になっている。
聴きどころ
実際に聴くと、音のレイヤーが多すぎず、要所でシンセのフレーズやリズムの刻みがはっきり分かる作りだ。歌を覆い隠すというより、歌の輪郭を支えるような配置になっている。タイトル曲のWaving Not Drowningは、作品全体の方向性を示す中心曲として受け取られやすいだろう。派手なロック的高揚より、一定のテンポ感の中で細部を聴かせるタイプのアルバムという印象が残る。
盤の情報
- オリジナルリリース年: 1982年
- リリース国: UK
- 盤の表記: Made in England
- 一部の流通盤には、裏ジャケットに金色のプロモーションスタンプが付く例あり
アーティストについて
Rupert Hineは、演奏者としてだけでなく、音楽業界の制度面にも関わった人物でもある。BASCAのソングライター委員会を率い、Ivor Novello Awards委員も務めた。のちには、技術ライターで起業家のAlan GrahamとともにOne-Click Licence(OCL)を立ち上げ、NDiiDやTotemといった仕組みにも関わっている。音楽制作と著作権、テクノロジーの接点に早くから目を向けていた人でもある。
まとめ
Waving Not Drowningは、1982年のUKシーンに置くと、電子音を使いながらも歌を中心に据えたRupert Hineの代表的な時期を示すアルバムとして捉えやすい。プロデューサーとしての整理された音像、シンセポップ期の空気、そして本人の作家性が重なる一枚だ。
トラックリスト
- A1 – Eleven Faces (3:44)
- A2 – The Curious Kind (4:46)
- A3 – The Set Up (4:29)
- A4 – Dark Windows (3:22)
- A5 – The Sniper (5:32)
- B1 – Innocents In Paradise (3:24)
- B2 – House Arrest (4:18)
- B3 – The Outsider (5:29)
- B4 – One Man’s Poison (6:13)