Vangelis – L’Apocalypse Des Animaux (1973)
Vangelis『L’Apocalypse Des Animaux』について
『L’Apocalypse Des Animaux』は、Vangelisが1973年に発表した作品で、もともとはフランスのテレビ番組用に書かれた音楽として知られている。Vangelisは、電子音楽、オーケストラ、映画音楽の領域を横断して活動したギリシャ出身の作曲家で、この時期からすでに独自の鍵盤サウンドと映像的な構成感を持っていたことがうかがえる。のちの代表作につながる、初期の重要な一枚として位置づけられる作品。
作品の性格
本作は、いわゆる歌もののアルバムではなく、映像作品に寄り添うためのインストゥルメンタル中心の内容。タイトルの通り、動物と自然を思わせる場面が、曲ごとの短いスケッチのように並ぶ構成である。Vangelisらしいシンセサイザーの響きに、ピアノ、オルガン、打楽器、アコースティックな要素が重なり、場面転換のある映像音楽らしい流れになっている。
この時期のVangelisは、のちの大規模な映画音楽やソロ作で強く印象づけられる前段階にあたり、音の置き方や余白の作り方にすでに個性が見える。プログレッシブ・ロック周辺の耳で聴くと、同時代の電子音楽やシンフォニックな作風ともつながるが、単純なバンド演奏よりも、空間の作り方に重心がある印象。
聴きどころ
この作品でまず目立つのは、メロディのはっきりした主題と、音の輪郭がくっきりした鍵盤の使い方。過度に音数を増やさず、短いフレーズを繰り返しながら場面を組み立てるため、曲ごとの変化が追いやすい。映像用音楽らしく、派手な展開よりも、静かな移ろいや緊張の持続が中心になっている。
実際に聴くと、ひとつひとつの曲が単独で完結するというより、連なりの中で印象が積み上がっていくタイプのアルバム。電子音が前面に出る場面もあれば、ピアノや弦のような響きが前に出る場面もあり、その切り替えで映像の情景を想像しやすい作りになっている。
アーティストとしての位置づけ
Vangelisは、Aphrodite’s Childでの活動を経て、1970年代前半からソロの作曲家として活動を広げていく。本作は、その初期ソロ期の流れの中にあり、後年の『Blade Runner』や『Chariots of Fire』のような大きな成功作の前に、映像音楽と電子音楽を結びつける手つきを示している。大作志向というより、テーマの断片を音で組む感覚が前に出た作品といえる。
同時代の電子音楽やシンフォニックなサウンドを思わせつつも、Vangelisの曲は打ち込みの精密さだけで押すタイプではなく、演奏の流れや即興性の気配も残している。そのため、クラシック寄りの整った構成と、ロック以後の自由な音の扱いが同居しているように聴こえる。
リリース盤について
ここでの盤は1973年の日本盤。赤いPolydorラベル、片面のみの日本語ライナー、モノクロ仕様、厚手のマットな紙ジャケットという案内がある。日本盤としての体裁がしっかりした一枚で、当時の国内リリースらしい作りになっている。
オリジナル年と同年のリリースなので、再発盤ならではの音質差や収録差を比較するタイプではない。作品そのものの初出時の姿をそのまま追ううえで、1973年盤として押さえておく意味がある。
まとめ
『L’Apocalypse Des Animaux』は、Vangelisの初期における映像音楽の重要作。テレビ用音楽として生まれた背景を持ちながら、のちのソロ活動につながる鍵盤中心の音作りや、情景を描く構成感がはっきり出ている。電子音楽、モダン・クラシカル、ステージ/スクリーン音楽の接点にある作品として、1973年の時点ですでにVangelisの方向性が見える内容。
トラックリスト
- A1 – Apocalypse des Animaux – Générique
- A2 – La Petite Fille de la Mer
- A3 – Le Singe Bleu
- A4 – La Mort Du Loup
- A5 – L’Ours Musicien
- B1 – Création Du Monde
- B2 – La Mer Recommencée