Ray Parker Jr. – Two Places At The Same Time (1980)
Ray Parker Jr.「Two Places At The Same Time」について
Ray Parker Jr.の「Two Places At The Same Time」は、1980年に発表されたソロ作品です。アメリカ・デトロイト出身のシンガー、ソングライター、ギタリスト、プロデューサーとして知られる彼が、Raydioでの活動と並行しながら、自身のソロ表現を前に出していった時期の一枚です。
Ray Parker Jr.というと、のちに「The Other Woman」や「Ghostbusters」で広く知られることになりますが、この時点ではすでにファンクとポップの境目を自然に行き来する書き手・演奏者としての輪郭がはっきりしている印象です。バリー・ホワイト周辺の仕事やRaydioでの経験が、そのままソロ作にもつながっている流れと見てよさそうです。
作品の位置づけ
このアルバムは、Ray Parker Jr.がソロ名義で存在感を固めていく過程にある作品です。Raydioの活動と近い時期のため、バンド的な感触とソロならではのまとまりが同居しているのが特徴です。後年の大ヒット曲が先に思い浮かぶ人も多いですが、その前段階として、彼の作曲と演奏の土台を確認できるタイトルです。
1980年という時期は、ファンクがディスコ以後の形に移っていく流れの中にあり、ギター主体のリフ、タイトなベース、整理されたリズムの作り方が重要になっていく頃です。この作品も、その時代の空気の中で、過度に荒々しくはせず、輪郭のはっきりしたグルーヴを作っている印象があります。
サウンドの印象
録音とミックスはHollywoodのRaydio StudiosとAmeraycan Studiosで行われています。盤のクレジットからも、制作環境がかなり整った状態で作られたことがうかがえます。ファンクを軸にしながら、演奏の隙間やコーラスの置き方に、ラジオ向きの整理された感触がある作品です。
Ray Parker Jr.はギタリストとしての表情がはっきりした人なので、単にリズムを刻むだけでなく、フレーズそのものが曲の推進力になっている点が目立ちます。ソウル寄りの歌ものとしても、インスト感のあるバンド・ファンクとしても受け取れる作りです。
収録曲まわり
収録曲の中では、A4の楽曲がHancock Music出版とクレジットされています。アルバム全体としては、作曲・演奏・プロデュースの手つきが揃っていて、ひとつの曲だけが突出するというより、全体で流れを作るタイプの構成です。
Ray Parker Jr.は、のちに「The Other Woman」でポップチャート上位に入り、「Ghostbusters」でさらに広く知られるようになりますが、この1980年作では、そうしたヒット期の前に、ファンクを核にしたソロ・アーティストとしての方向性が見えやすいです。
同時代の文脈
同じ時代のファンク/ソウルの流れで見ると、演奏の切れ味とポップなまとめ方を両立させるアーティストたちと近い空気があります。Ray Parker Jr.の場合は、ギターを前に出しつつ、歌とリズムをきっちり整理するところが持ち味です。派手さを押し出すより、曲の中で機能するフレーズを置くタイプの作り方です。
また、彼はこの後、ソロ活動だけでなく作家・プロデューサーとしても多くの楽曲を手がけていきます。New Edition、Cheryl Lynn、Deniece Williams、Diana Rossなどへの提供曲があることからも、メロディとリズムの組み立てに長けた人物として見てよさそうです。
盤の特徴
このUS盤は、Aristaロゴ内の「Arista」の文字が装飾的な書体になっている点が特徴です。レーベル表記の違いがある同系統のプレスも存在しますが、この盤ではそのデザインが見分けのポイントになります。ジャケットやラベルの細部まで含めて、1980年当時のUSプレスらしい雰囲気があります。
まとめ
「Two Places At The Same Time」は、Ray Parker Jr.がソロ・アーティストとしての輪郭を固めていく1980年の作品です。のちの大ヒット曲で知られる前段階として、ファンクを基盤にしながら、演奏・制作・ソングライティングのバランスを見せる一枚、といった位置づけです。
Raydioやバリー・ホワイト周辺の仕事を経た人物らしい、きっちりしたグルーヴと整理された楽曲作り。その積み重ねが、この時期のソロ作にはしっかり出ているように感じられます。
トラックリスト
- A1 – It’s Time To Party Now (4:53)
- A2 – Until The Morning Comes (4:24)
- A3 – Two Places At The Same Time (3:49)
- A4 – Tonight’s The Night (5:06)
- B1 – A Little Bit Of You (4:18)
- B2 – Everybody Makes Mistakes (4:58)
- B3 – Can’t Keep From Cryin’ (3:37)
- B4 – For Those Who Like To Groove (4:28)